民間小型ロケット「カイロス2号機」、打ち上げ3分後に飛行中断

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12月18日、民間ロケット「カイロス2号機」の打ち上げが実施された。ロケットは離陸したものの、姿勢を崩し進行方向から大きくずれたため、打ち上げ3分後に破壊された。

【2024年12月18日 スペースワン株式会社/NVS(1)(2)和歌山県庁成長産業推進課

12月18日11時00分、人工衛星5機を搭載したスペースワン社の民間小型ロケット「カイロス2号機」が、和歌山県串本町の民間宇宙港「スペースポート紀伊」から打ち上げられた。当初打ち上げは14日の予定だったが、天候条件が満たされなかったため2度延期されていた。

カイロス2号機の打ち上げ
カイロス2号機の打ち上げ(提供:和歌山県庁成長産業推進課

離陸したロケットは勢いよく上昇し、1段目の分離、2段目の点火、さらにフェアリング開頭まで進んだ。しかし打ち上げの80秒後、燃焼ガスを噴き出すノズルの駆動制御に異常が発生したため、ロケットの姿勢が大きく崩れ、進行方向にずれが生じた。飛行データによると、1段目の分離後にロケットの姿勢に異常が見られはじめ、2段目が西側にずれた方向で分離されたことがわかっている。打ち上げ中継では、ロケットが曲がりくねったらせんを描くような飛跡を残しながら飛行する様子も見られた。

カイロス2号機の航跡
打ち上げ後のカイロス2号機。らせんを描くような飛跡の先端(下方)にカイロス2号機がある(提供:NVS

最終的にロケットは高度約110kmまで到達したが、落下予想区域が想定域を超えたために、打ち上げの3分7秒後に自律飛行安全システムが作動して飛行を中断し、自律的に破壊された。機体は紀伊半島沖の南方数百kmに落下したとみられる。

打ち上げ後の会見で、スペースワン社社長の豊田正和さんらは衛星を同社に託した関係者へのお詫びを述べ、さらに次のように語っている。「9か月前に打ち上げを行った1号機と同様、今回の結果を失敗とは受け止めていない。飛行中断に至った時点から対策委員会を立ち上げ、すでに原因究明に着手している。問題のノズルについては、事前に行われたノズルの単体試験でも燃焼試験でも異常は見られなかったことから、今後事象が起こる原因を幅広く分析し、その中から絞り込んで原因を究明する。その上で、1段目の分離、2段目の点火、フェアリングの開頭まで完了し、貴重なデータが得られている。今後の糧となるそれらデータの分析・評価を行って一刻も早く再発防止策を明らかにし、次の3号機の打ち上げに臨みたい」。

カイロス2号機とスペースワンの5つのミッションの位置づけ
カイロス2号機とスペースワンの5つのミッションの位置づけ(提供:スペースワン)

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