1年ぶり17回目の新星爆発を起こしたM31の再帰新星

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約1年周期で爆発するアンドロメダ座大銀河の新星、M31N 2008-12aの、17回目となる増光が12月13日に観測された。

【2024年12月16日 高橋進さん】

12月13日に、アンドロメダ座大銀河(M31)の再帰新星M31N 2008-12aが新星爆発を起こしたとの報告がありました。前回から374日ぶり、通算17回目の増光です。

M31N 2008-12a(2024年)
M31N 2008-12a(十字の交点)。2024年12月13日撮影。画像クリックで表示拡大(撮影:吉本勝己さん

M31N 2008-12aは2008年に西山浩一さんと椛島冨士夫さんがアンドロメダ座大銀河(M31)で発見した再帰新星です。これまでにおよそ1年の周期で16回の新星爆発がとらえられており、今回が17回目の爆発です。

今回の増光は、中国・星明天文台の赵经远(Jingyuan Zhao)さんがカナダのバーク・ガフニー天文台の口径61cm望遠鏡によるリモート観測から18.55等(V等級)で検出しました。その後、山口県の吉本勝己さん達によって確認観測が行われ、インド天文台の口径2mヒマラヤ・チャンドラ望遠鏡でのスペクトル観測から新星であることが確認されました。

M31N 2008-12a発見者
M31N 2008-12a発見者

発見後は急速に減光していき、2日後の12月15日にはR等級で19.7等にまで暗くなってきています。前回から374日ぶりの爆発で、これによりこの天体の爆発の平均周期は364.4日になりました。

M31N 2008-12aの光度曲線
M31N 2008-12aの光度曲線(CBATとATelに報告されたデータから高橋さん作成)

新星とは主系列星(または赤色巨星)と白色矮星の近接連星系で起こる爆発現象です。主系列星から流出した水素ガスが白色矮星の表面にたまっていき、これが臨界量を超えると新星爆発になります。この爆発は白色矮星の表面のガスを吹き飛ばしますが、その後も主系列星からの流入は続くので、やがてまた新星爆発は起こります。

その間隔は数千年から数十万年のものがほとんどですが、なかには数十年やそれ以下の周期で新星爆発を起こすものもあり、再帰新星(回帰新星、反復新星)と呼ばれます。白色矮星の質量が重いものほど周期が短くなると思われ、M31N 2008-12aの場合は白色矮星の質量が1.38太陽質量程度と見積もられています。

再帰新星では新星爆発を何度も繰り返しながら白色矮星の質量が重くなっていき、1.4太陽質量くらいになるとIa型超新星爆発を起こすと考えられています。そのような超新星への進化を研究する上でも、M31N 2008-12aは大きく注目されている天体です。

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