アンドロメダ座大銀河に飲み込まれた「第3の銀河」
【2018年7月30日 ミシガン大学】
秋の夜空に見えるアンドロメダ座大銀河(M31)は、私たちの天の川銀河や他の小さな銀河とともに「局部銀河群」というグループを成している。米・ミシガン大学の研究により、およそ20億年前、このM31銀河に「天の川銀河の兄弟」とも言えるほど大型の銀河が衝突したことが示された。
「天の川銀河やアンドロメダ座大銀河、それらの伴銀河といった局部銀河群の銀河については長年研究がなされていますが、天の川銀河に“兄弟”がいたことは全く知られておらず、今回それが判明したことは衝撃的です」(ミシガン大学 Eric Bellさん)。
Bellさんと同大学のRichard D'Souzaさんたちのシミュレーション研究によれば、この衝突銀河(仮にM32pと名付けられている)は天の川銀河やM31に次ぐ大きさだったという。翻って、天の川銀河にこれまで衝突した銀河のうち最大のものでも、M32pの20分の1もない大きさだったと考えられる。
M31については、銀河円盤の成長や爆発的な星形成が20億年前に起こったという研究結果を今年フランスのチームが発表している。これはM32pの衝突のタイミングともつじつまが合うものだ。
さらに、M32p衝突の名残についても明らかにされた。まず、M31を球殻状に取り囲む星々(ハロー構造)はM31にぶつかった無数の小銀河がもたらしたと考えられてきたが、外側のハローの星々はそのほとんどがM32pに由来することが今回の研究で示された。
また、M31に寄り添うコンパクトな伴銀河M32は、かろうじて残ったM32pの中心部だという。M32は「類を見ないほどコンパクトで古い楕円銀河のように見えるのに、若い星が多い」(Bellさん)など、かねてから不可思議な存在とされてきた。
M32pのような大型銀河が衝突してもなおM31銀河の円盤が美しく渦巻いていることから、「大規模衝突によって銀河がばらばらになり、楕円銀河が形成される」という従来の理解も再考の余地があるかもしれない。
M32p銀河の“発見”と研究は、天の川銀河のような円盤銀河がどのように進化し大規模な合体でも生き残ったのかを理解するための手がかりとなる。今回と同様の手法で他の銀河についても大規模な銀河衝突の過去を探ることで、銀河進化と銀河衝突の複雑な因果関係がさらに明らかになっていくだろう。
〈参照〉
- ミシガン大学:The Milky Way’s long-lost sibling finally found
- Nature Astronomy:The Andromeda galaxy’s most important merger about 2 billion years ago as M32’s likely progenitor 論文
〈関連リンク〉
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