太陽観測衛星「ひので」「SDO」がとらえた水星の太陽面通過

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5月9日に水星の太陽面通過が起こった。日本では夜間の現象で見られなかったが、アメリカやヨーロッパで観測されたほか、太陽観測衛星「ひので」や「SDO」も軌道上からこの現象をとらえた。

【2016年5月12日 国立天文台NASA

2016年5月9日の夜から10日未明(日本時間)、地球から見て水星が太陽の前を通り過ぎる「水星の太陽面通過(日面経過)」が起こり、約7時間半かけて太陽面を水星が横切っていく様子がアメリカやヨーロッパで観測された。日本では夜中の時間帯であったため残念ながら直接見ることはできなかったが、日本の太陽観測衛星「ひので」は軌道上からこの現象を観測した。

「ひので」のX線望遠鏡で見た水星の太陽面通過。X線を放射するコロナは太陽表面より宇宙空間に広がっているので、第1接触(水星が太陽面に入り始めるとき)の前からコロナからのX線を水星が遮断し、シルエットとして見えている(提供:国立天文台/JAXA/モンタナ州立大学/SAO)

「ひので」の極端紫外線撮像分光装置で見た水星の太陽面通過。X線と同様、第1接触前から太陽コロナからの極端紫外線を遮断しているところが見えている(提供:国立天文台/JAXA)

また、NASAの太陽観測衛星「SDO(Solar Dynamics Observatory)」も水星の太陽観測衛星を観測している。

SDOがとらえた水星の太陽面通過(提供:NASA's Goddard Space Flight Center/SDO/Genna Duberstein)

水星の太陽面通過は珍しい現象で、今世紀中に14回しか起こらない(今回が3回目)。次回は2019年11月11~12日(日本時間、以下同じ)に起こるが、今回と同様に日本からは見られない。さらに次回の2032年11月13日の現象は日本からも見られるが、水星が太陽面を通過し終わる前に日没となる。

なお、同じ内惑星である金星の太陽面通過はさらに珍しく、前回は2012年6月6日だったが(日本でも見られた)、次回は2117年12月11日(日本からも見える)となる。