「キュリオシティ」、火星探査の次章へ
【2016年10月7日 NASA】
NASAの火星探査機「キュリオシティ」は2012年8月に火星に着陸し、ゲール・クレーターの中央丘シャープ山で、過去の火星に水があった証拠などを探査してきた。10月からの新ミッションでは、酸化鉄を多く含む鉱物ヘマタイトの豊富な物質で覆われた2.5km先の峰や、粘土の豊富な岩石が露出した場所を目指す予定だ。
これまでにキュリオシティが撮影した画像は18万枚以上にのぼる。そのうちここ数週間に撮影された数百枚の最新画像は、頂上が平らで周囲が絶壁となっている浸食地形(メサ)や、さらに侵食が進んで孤立した地形(ビュート、複数形ビューツ)などが集まっているマレー・ビューツ(Murray Buttes)からとらえられたものだ。
キュリオシティは9月18日にマレー・ビューツで、粉にした岩石のサンプルを採取した。その分析から、サンプル採取地点である厚さ180mの岩層が主に泥岩から成ることを発見した。泥岩は湖の底に溜まった泥から形成されたものなので、過去の火星には湖が短期間ではなく持続して存在できる環境があったことを示している。
「マレー・ビューツを後にしたキュリオシティの任務はこれまでと同じく、生命の存在を許す環境が火星にあったのかどうかを調べることに尽きます。火星の歴史のページをめくって読み解くかのように、私たちの理解を覆したり深めたりすることです」(キュリオシティ計画サイエンティスト Michael Meyerさん)。
ミッションでは自然放射線のレベルなど現在の火星環境も調査中だ。そのデータは、今後実施されるロボットによるミッションや2030年代に予定されている火星への有人探査に役立てられることになっている。
〈参照〉
〈関連リンク〉
- NASA:http://www.nasa.gov/
- アストロアーツ:
- 【特集】火星を見よう(2016年5月31日 地球最接近)
- 投稿画像ギャラリー: 2016年 火星
- 星ナビ.com:
- 月刊星ナビ2016年6月号 特集「火星が接近中」
- こだわり天文書評:
関連記事
- 2024/10/22 【特集】火星(2025年1月12日 地球最接近)
- 2024/10/17 2024年10月23日 月と火星が接近
- 2024/10/03 火星の地震波が示す、液体の水が地下に存在する可能性
- 2024/10/03 「火星のクレーター」を教室に再現!ドラマ「宙わたる教室」が10月放送開始
- 2024/09/25 太古の火星でホルムアルデヒドが有機物生成に寄与
- 2024/08/07 2024年8月中旬 火星と木星が大接近
- 2024/07/24 火星大気中の塩化水素を全球で検出
- 2024/07/11 2024年7月下旬 火星とプレアデス星団が接近
- 2024/07/08 2024年7月中旬 火星と天王星が大接近
- 2024/06/25 2024年7月2日 細い月と火星が接近
- 2024/06/17 火星の赤道地方の山頂で霜を検出
- 2024/05/27 2024年6月3日 細い月と火星が大接近
- 2024/05/17 初期火星の有機物は一酸化炭素から作られた
- 2024/04/24 2024年5月5日 火星食
- 2024/04/24 2024年5月5日 細い月と火星が接近
- 2024/04/19 2024年4月下旬 火星と海王星が大接近
- 2024/04/04 2024年4月中旬 火星と土星が大接近
- 2024/02/15 2024年2月下旬 金星と火星が大接近
- 2024/01/19 2024年1月下旬 水星と火星が大接近
- 2023/08/14 火星の自転はわずかに加速している