海王星に新たな暗斑が出現
【2016年6月28日 HubbleSite】
この暗斑の正体は、長さが4800kmほどの高気圧の渦だ。これまで1989年に探査機ボイジャー2号が海王星をフライバイした時と、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が1994年に観測した時に見られており、今回の確認は約20年ぶりのこととなる。
2015年7月、アマチュア天文家や米・ハワイのW. M. ケック天文台が海王星に明るい雲を観測した。この雲は凍ったメタンでできていると考えられており、暗い渦に付随して見られることが多い。しかし、暗い渦は一般に青い波長でしかとらえられないことや観測にはHSTの高解像度が必要なことから、この時点では渦は見えていなかった。
その後、2015年9月になってHSTが明るい雲のそばに暗斑の存在をとらえた。そして今年5月、HSTが再び暗い渦を観測したことにより、暗斑の存在が決定的となった。
海王星の暗い渦は、何年にもわたって大きさや形、位置(緯度)や移動速度を変え、研究者を驚かせてきた。しかし、その起源や周囲への影響、最終的にどのように消失するのかなど、未解明のことも多い。今回新たに確認された暗斑の変化を観測することで、暗斑そのものや、周囲の大気の運動や構造について、様々な知見が得られると期待される。
〈参照〉
- HubbleSite: Hubble Confirms New Dark Spot on Neptune
- CBET: No. 4278: NEPTUNE
〈関連リンク〉
- HubbleSite: http://hubblesite.org/
- アストロアーツ 投稿画像ギャラリー: 海王星
〈関連ニュース〉
- 2013/07/17 - 海王星に14個目の新衛星を発見
- 2011/07/12 - 発見から“一周”年、海王星の歴史を振り返る
- 2011/06/30 - 海王星の自転周期が正確に判明!
関連記事
- 2024/12/02 2024年12月9日 海王星食
- 2024/09/12 2024年9月21日 海王星がうお座で衝
- 2024/04/19 2024年4月下旬 火星と海王星が大接近
- 2024/02/29 天王星と海王星に新衛星発見
- 2023/09/12 2023年9月20日 海王星がうお座で衝
- 2023/02/08 2023年2月中旬 金星と海王星が大接近
- 2022/12/16 2022年12月下旬 惑星パレード
- 2022/09/29 JWST、海王星の環や衛星を撮影
- 2022/09/29 2022年10月6日 衛星トリトンによる12等星の食
- 2022/09/09 2022年9月17日 海王星がみずがめ座で衝
- 2022/06/17 2022年6月下旬 明け方の空に全惑星が見える
- 2022/06/07 なぜ海王星は天王星より青いのか
- 2022/05/11 2022年5月中旬 火星と海王星が大接近
- 2022/04/14 過去20年の海王星の温度に予想外の変化
- 2021/09/08 2021年9月15日 海王星がみずがめ座で衝
- 2020/10/28 シアン化水素の観測で調べる海王星の大気循環
- 2020/09/04 2020年9月12日 海王星がみずがめ座で衝
- 2020/07/17 2020年7月下旬 明け方の空に全惑星が見える
- 2020/06/10 2020年6月中旬 火星と海王星が大接近
- 2019/09/04 2019年9月11日 海王星がみずがめ座で衝