海王星に新たな暗斑が出現

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ハッブル宇宙望遠鏡の観測画像から、海王星の大気中に新たな暗斑が出現していることが確認された。過去に2回見られていたものだが、今世紀になってからは初めてとなる。

【2016年6月28日 HubbleSite

この暗斑の正体は、長さが4800kmほどの高気圧の渦だ。これまで1989年に探査機ボイジャー2号が海王星をフライバイした時と、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が1994年に観測した時に見られており、今回の確認は約20年ぶりのこととなる。

海王星
2016年5月16日に撮影された海王星。右下の青い波長の画像で暗斑が明瞭に見える。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and Z. Levay (STScI))

2015年7月、アマチュア天文家や米・ハワイのW. M. ケック天文台が海王星に明るい雲を観測した。この雲は凍ったメタンでできていると考えられており、暗い渦に付随して見られることが多い。しかし、暗い渦は一般に青い波長でしかとらえられないことや観測にはHSTの高解像度が必要なことから、この時点では渦は見えていなかった。

その後、2015年9月になってHSTが明るい雲のそばに暗斑の存在をとらえた。そして今年5月、HSTが再び暗い渦を観測したことにより、暗斑の存在が決定的となった。

海王星の暗い渦は、何年にもわたって大きさや形、位置(緯度)や移動速度を変え、研究者を驚かせてきた。しかし、その起源や周囲への影響、最終的にどのように消失するのかなど、未解明のことも多い。今回新たに確認された暗斑の変化を観測することで、暗斑そのものや、周囲の大気の運動や構造について、様々な知見が得られると期待される。

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