超大質量ブラックホールからのアウトフロー内に幼い星の集団

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6億光年彼方の衝突銀河の観測で、超大質量ブラックホール付近からのアウトフローがとらえられ、その場所で星形成が進んでいることが確認された。

【2017年3月30日 ヨーロッパ南天天文台

ほとんどの銀河の中心には超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられており、そのブラックホールが物質を飲み込む際に膨大なエネルギーが発生する。この銀河中心からの膨大なエネルギーによって、銀河から吹き出す巨大なガス流(アウトフロー)が生じる。

こうしたアウトフローの内部では星形成が起こりうると考えられてきたが、観測の難しさもあり、これまで実際に星形成が進んでいる様子が観測されたことはなかった。

英・ケンブリッジ大学のRoberto Maiolinoさんたちの研究チームはヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡「VLT」を用いて、きょしちょう座の方向6億光年彼方に位置する衝突銀河「IRAS F23128-5919」を観測した。そして、2つの銀河のうち南側の銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール付近を起源とするアウトフローをとらえ、そこで星形成が行われているはっきりとした証拠をとらえた。1年間で太陽30個分に相当する星が生まれているという。

アウトフロー内で進む星形成の想像図
超大質量ブラックホールから噴出するアウトフロー内で進む星形成の想像図(提供:ESO/M. Kornmesser)

Maiolinoさんたちはアウトフロー内の星とその周囲のガスを調べ、観測されたものが間違いなく生まれたての星であることを確認した。星の年齢は数千万歳未満とみられ、銀河の円盤部のような普通の環境で生まれた星よりも高温で明るいようだ。また、星々の動きも調べられ、アウトフローの中にとらえられた天体としては当然だが、非常に速い速度で銀河の中心から遠ざかっていることが示された。

「いくつかの理論が予測しているように、もし星形成がほとんどの銀河のアウトフロー内で本当に起こっているとすれば、銀河の進化に関する全く新しいシナリオの登場につながることでしょう」(Maiolinoさん)。

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