オーロラエネルギー取り込みの仕組みを衛星観測で解明

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オーロラ爆発のエネルギー源となる太陽風の地球磁気圏への取り込みが、約7万kmの広範囲にわたって5時間以上継続することが、人工衛星ジオテイルとMMSの観測から明らかにされた。エネルギーの取り込みが磁気リコネクションによって起こることを示す結果である。

【2016年7月27日 JAXA宇宙科学研究所

太陽から吹き出す高速のプラズマの流れである太陽風は、生命にとっては有害なもので、地球磁気圏がバリアとして働き太陽風を防いでいる。太陽風が地球に到達してエネルギーが磁気圏に入り込むと、磁気圏尾部にエネルギーがため込まれる。このエネルギーが短時間で一気に解放され、プラズマ粒子のエネルギーとなり磁力線に沿って地球の極地方へ進むと、オーロラが発生する。

この際、エネルギーの取り込みや解放に重要な役割を果たすのが磁気リコネクション(磁力線のつなぎかえ)だ。磁気リコネクションによってオーロラや磁気嵐が起こると考えられており、その物理過程の理解は地球周辺の宇宙空間で起こる現象を解き明かす上で重要な鍵となる。

JAXA宇宙科学研究所の長谷川洋さん、北村成寿さんたちの研究グループは、太陽風のエネルギーが地球の磁気圏に入り込む過程を調べるため、日米共同の磁気圏尾部観測衛星「ジオテイル(GEOTAIL)」とNASAの磁気圏編隊観測衛星「Magnetospheric Multiscale(MMS)」の観測データを解析した。ジオテイルはこの7月で運用24年を迎えた長寿の人工衛星だ。

ジオテイルとMMSによる観測のイメージ図
ジオテイルとMMSによる観測のイメージ図(提供:JAXA)

複数箇所で磁気リコネクションが起こると、らせん状の構造をした磁気ロープが発生することがある。これまで、この構造は消えることはないと考えられてきたが、今回の解析により消滅するものもあることがわかった。この結果は、磁気リコネクションが起こると必ず太陽風のエネルギーが地球の磁気圏に流入するわけではないということ、つまり磁気ロープによって太陽風エネルギー流入が阻害される場合があることを示唆するものだ。

一方、磁気リコネクションは継続的に起こり少なくとも5時間以上継続することや、磁気リコネクションが約7万km(地球半径の10倍以上)の広範囲にわたっていることもわかった。

JAXAは今後半年以内にジオスペース探査衛星(ERG)を打ち上げ、磁気圏尾部の観測を開始する予定だ。ジオテイルとERGの共同観測により、地球周辺の宇宙空間で起こっている現象の理解が進むと期待されている。

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