「くらげ銀河」の触手と活動的ブラックホールの関係性
【2017年8月25日 ヨーロッパ南天天文台】
「くらげ銀河」とは、銀河の円盤から数万光年にわたって伸びているガスが、くらげの長い「触手」のように見えることから名付けられた銀河の総称で、これまでに400個以上の候補が見つかっている。銀河団の重力に引かれた銀河が高速で銀河団に落ち込むと、銀河団に広がる高温高密度のガスの圧力によって銀河のガスがはぎ取られ、新しい星を生むガスの長い帯ができる。これがくらげの「触手」のように見えるのだ。
イタリア国立天体物理学研究所パドヴァ天文台のBianca Poggiantiさんたちの研究チームは銀河からガスがはがされる様子を調べる目的で、チリ・パラナル天文台にあるヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで7個のくらげ銀河を観測した。するとそのうち6個の中心に、周囲のガスを飲み込んでいる活動的な超大質量ブラックホールが存在していることが明らかになった。
ほとんどの銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在すると考えられているものの、活動的なものは10個に1個以下の割合しかないとみられており、くらげ銀河における活動的ブラックホールの割合の高さは際立っている。「ガスのはぎ取りと活動的ブラックホールの間に強い関連がありそうだという結果は予想外でした。一部のガスは、はがされるのではなく銀河の中心に達し、それがブラックホールに消費されているようです」(Poggiantiさん)。
「銀河中心のブラックホール近くまでガスを送り込む、新しいメカニズムを示す可能性がある観測結果です。超大質量ブラックホールと銀河との関係には不明な点が多いのですが、今回の結果は謎を解く手がかりの一つとなるでしょう」(ヨーロッパ南天天文台 Yara Jafféさん)。
〈参照〉
- ヨーロッパ南天天文台:Supermassive Black Holes Feed on Cosmic Jellyfish
- Nature:Ram-pressure feeding of supermassive black holes 論文
〈関連リンク〉
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