電子情報通信学会マイルストーンに選定、国立天文台の「高感度電波望遠鏡技術」と「スパコン GRAPE」

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電子情報通信学会マイルストーンに、国立天文台が開発・運用に携わってきた「高感度電波望遠鏡技術」と「天文学専用スーパーコンピューター GRAPE」が選定された。

【2017年10月10日 国立天文台アルマ望遠鏡

今年100周年を迎えた電子情報通信学会が「電子情報通信学会マイルストーン」を認定し、そのなかに国立天文台が開発・運用に携わってきた「高感度電波望遠鏡技術」と天文学専用スーパーコンピュータ GRAPE」が選ばれた。

「高感度電波望遠鏡技術」には、1982年に完成した野辺山45m電波望遠鏡、1997年に打ち上げられた電波天文衛星「はるか」を用いたスペースVLBI(超長基線電波干渉計)システム、2002年に観測を開始したVERA、そして2011年に観測を開始したアルマ望遠鏡が含まれている。

選定にあたっては、望遠鏡技術を一歩一歩高めながら観測性能を向上させ、銀河や惑星系の誕生に迫る天文学観測に大きく貢献してきたことが高く評価された。

 国立天文台野辺山45m電波望遠鏡、VERA水沢局20m望遠鏡、アルマ望遠鏡
国立天文台野辺山45m電波望遠鏡(左上)、VERA水沢局20m望遠鏡(右上)、アルマ望遠鏡(下)(提供:国立天文台、Y. Beletsky (LCO)/ESO)

また「天文学のための専用スーパーコンピューター GRAPE」は、野辺山ミリ波干渉計のデータを処理する相関器に端を発した天文学専用の高性能コンピューターの開発が評価された。

相関器の開発をリードした国立天文台名誉教授の近田義広さんは、独自の処理方法を相関器に実装し、さらにそのアイディアを発展させて重力多体問題を効率よく計算する専用スーパーコンピューターを構想した。その構想に基づいて、東京大学名誉教授の杉本大一郎さんたちが重力多体問題専用計算機「GRAPE」を開発した。その後継機「GRAPE-DR/GRAPE-9」は、現在も国立天文台などでコンピューターシミュレーションに活用されているほか、分子間に働く力を計算する分子動力学に特化した計算機「MD-GRAPE」の開発にもつながっている。

GRAPE-DR
国立天文台が運用する「GRAPE-DR」(提供:飯島裕)

「電子情報通信学会マイルストーン」認定の目的は、電子情報通信の研究開発の歴史と意義を振り返ること、さらなる革新を起こすと期待される次代の研究者や技術者へ認定された研究開発の創出過程を伝えることにある。社会や生活、産業、科学技術の発展に大きな影響を与えた研究開発の偉業として、「基礎・境界」「通信」「エレクトロニクス」「情報・システム」の4分野から242件が選ばれている。

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