11光年彼方に温暖な地球サイズの系外惑星
【2017年11月20日 ヨーロッパ南天天文台】
仏・グルノーブル惑星科学・天体物理学研究所のXavier Bonfilsさんたちの研究チームが、ヨーロッパ南天天文台ラ・シーヤ観測所の3.6m望遠鏡に設置された分光器「HARPS」による観測で、地球からわずか11光年の距離に位置する系外惑星「Ross 128 b」を発見した。
Ross 128 bは、おとめ座の方向にある赤色矮星Ross 128の周りを約10日で公転しており、質量は地球の1.4倍ほどとみられている。中心星Ross 128からの距離は太陽から地球までの距離の5%(約750万km)しかないが、中心星の質量は太陽の約7分の1で表面温度が摂氏約3000度と低いため、惑星が受けるエネルギーは地球が太陽から受けるエネルギーの1.38倍しかない。
そのおかげで、Ross 128 bの平衡温度は摂氏マイナス60度から20度の間と計算されており、この惑星は温暖である(少なくとも、よくある系外惑星のように灼熱の世界ではない)と考えられている。温暖とみられる惑星としては、太陽系から最も近い恒星(約4.2光年)であるケンタウルス座の「プロキシマケンタウリ」の周囲に発見されている系外惑星「プロキシマケンタウリb」に次いで、私たちから2番目に近い系外惑星となる。
Ross 128やプロキシマケンタウリのような赤色矮星は宇宙で最もありふれた存在であり、系外惑星探しの対象として盛んに研究が進められている天体だ。しかし、プロキシマケンタウリを含め多くの赤色矮星では時おり激しい爆発が起こり、周りの惑星は致命的な量の紫外線とX線を浴びることがある。
一方、Ross 128は多くの赤色矮星に比べてはるかに穏やかな星とみられていることから、その周りの惑星は生命にとって快適な地である可能性がある。Ross 128 bは活動的でない赤色矮星の周りに発見された最も近い系外惑星であり、今後、酸素などのバイオマーカー(生命活動の目印)探しの最重要ターゲットの一つになりそうだ。
なお、太陽系とRoss 128は高速で接近中で、Ross 128は7万9000年以内に太陽系のお隣の星になると考えられている。そのころになればRoss 128 bは、地球に最も近い系外惑星の地位をプロキシマケンタウリbから奪うことになるだろう。
〈参照〉
- ヨーロッパ南天天文台:Closest Temperate World Orbiting Quiet Star Discovered - ESO’s HARPS instrument finds Earth-mass exoplanet around Ross 128
- Astronomy & Astrophysics:A temperate exo-Earth around a quiet M dwarf at 3.4 parsecs 論文
〈関連リンク〉
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