キラウエア火山よりも数百度も高温、イオの火山についての最新研究
【2004年6月22日 Washington University in St. Louis News & Information】
木星の第1衛星であるイオでは、100以上の活火山が地球の30倍という活発な活動を行っている。その火山活動は太陽系でもっとも活発なもので、木星探査機ガリレオによって摂氏1610度という高温の点も発見されている。イオは、(太陽を除いて)太陽系でもっとも高温の天体なのだ。
今回発表された研究結果は、火山性のガスに関するものだ。コンピュータモデルによる計算によれば、イオの高温の溶岩から、ナトリウムやカリウム、ケイ素、鉄などの物質が他のガスと共に大気中に蒸発していることが示された。また、それらの元素が原子や分子などさまざまな形で蒸発していることや、硫黄や塩素などと結合した物質を含むガスとなっていることもわかった。
イオの火山性の地形が示す温度は、ハワイのキラウエア火山(約1000度)よりも数百度も高温だ。今後の研究では、イオの直接観測が必要となるだろう。観測と研究が進めば、なぜ地球の月と同程度の大きさしかないイオのマグマが高温を保っていられるのか、エベレストより高い山々を支えている岩石圏の硬さの原因は何であるのかなど、さまざまな謎が明らかにされるはずだ。