これまででもっとも若い高密度天体の発見
【2004年6月25日 NRAO Press Releases】
電波望遠鏡による観測で、われわれから3000万光年離れた距離に、これまでに見つかっているものの中でもっとも若いブラックホール(または中性子星とも考えられる天体)が発見された。
観測されたのは、1986年にアンドロメダ座の銀河NGC 891に出現した超新星SN 1986Jだ。数々の望遠鏡を使った観測によれば、超新星SN 1986Jの爆発が起きたのはその3年前と考えられている。最近になって、その超新星爆発の中心に明るい光を放つ天体が捉えられるようになった。超新星の爆発が起こり、物質が吹き飛ばされ、あらわにされた中心部分に高密度の天体が現れるという、まさに解説書通りの超新星爆発が確認されたのは初めてのことだ。
解析によると、中心にある天体の特徴は超新星残骸の外層部とは異なっているようだ。しかし、その明るい中心天体がブラックホールに関連するものか、あるいは若いパルサー(中性子星)によるものなのかは、まだはっきりしていない。いずれにせよ、これほど若い高密度天体の発見は初めてとなる。これまででもっとも若いパルサーは822歳だったことから考えれば、ひじょうに興味深い発見だ。
今後の観測が続けられることで、この天体がブラックホールか中性子星なのかといったことなど、その正体が明らかにされていくだろう。超新星SN 1986Jで繰り広げられるあらゆる変化が、われわれに新しい情報をもたらしてくれ、こういった天体への理解がさらに進むことを期待したい。