三菱重工業が、韓国の衛星打ち上げを受注

【2009年1月14日 三菱重工業ニュース

三菱重工業株式会社が、韓国航空宇宙研究院(KARI)から、多目的実用衛星3号機(KOMPSAT-3)の打ち上げを受注した。同社が海外から衛星の打ち上げを受注するのは今回が初めてのことで、H-IIAロケットによる打ち上げは2011年に予定されている。


(H-IIAロケット13号機の打ち上げの写真)

H-IIAロケット13号機の打ち上げのようす。クリックで拡大(提供:三菱重工業株式会社ホームページより)

H-IIAロケットは、日本初の純国産ロケットH-IIロケットで培われた技術をもとに、人工衛星の打ち上げ・国際宇宙ステーションへの補給など多様な輸送目的に対応するために開発されたロケットだ。

三菱重工業は、2007年からH-IIAロケットの製造から打上げまで一貫して行う輸送サービスを開始し、同年からKARIに対してKOMPSAT-3の打ち上げサービスの提案を行ってきた。

その後、2008年10月に最優先交渉事業者に選定され、今月12日に正式な契約の調印に至った。

KOMPSAT-3は、KOMPSAT-1、2の後継機で、直径2.0m、高さ3.5m。打ち上げ後は太陽同期軌道を周回しながら、地理情報の解析に必要な高解像度の画像の取得や、環境に関する観測などを行う。

同衛星の打ち上げは2011年の予定で、韓国から船で鹿児島県の種子島に輸送された後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターからH-IIAロケットにより、JAXAの水循環変動観測衛星(GCOM-W)と相乗りで打ち上げられ、目的の軌道へ投入される。

H-IIAロケットは全長が53mで、2t級の衛星を打ち上げる能力を備えている。これまでに14機中13機が打ち上げに成功しており、2005年2月に打ち上げられた7号機以降は8回連続という高い成功率を誇っている。

なお、正式受注の発表を受けて、JAXAの立川敬二理事長は談話の中で、その喜びと今後への期待を次のように述べた。

《宇宙航空研究開発機構(JAXA) 立川敬二理事長の談話より》

日本の基幹ロケットである「HII-Aロケット」を開発してきた当機構としましても大変喜ばしいことであり、またHII-Aロケットが商用ベースで初めて他国の衛星打ち上げの受注に成功したこととなり、今後の海外市場開拓の土台を築くものとして、心から喜ばしく思っております。

今後も継続して、各国の衛星打ち上げにHII-Aロケットを利用していただけることを期待しております。