「スーパー惑星状星雲」を発見
【2009年8月24日 RAS Press News】
大マゼラン雲に、中心星の質量が太陽より重い、新種と思われる惑星状星雲が複数発見された。これまで惑星状星雲の中心星は、質量が太陽と同じくらいものしか知られていなかった。そのため、なぜそれ以上重い星が存在しないのかはなぞとされてきた。
太陽程度の質量をもつ恒星は、燃料を使い切って寿命を迎えると、大きく膨らんだ赤色巨星となる。最終的に外層は宇宙空間に広がって惑星状星雲となり、中心には白色矮星が残される。
不思議なことに、寿命を迎える前の質量が太陽の1〜8倍の惑星状星雲はこれまで発見例が少ない。典型的に観測される惑星状星雲は、星雲と中心星の平均的な質量がそれぞれ太陽の0.3倍と0.6倍。元の恒星は太陽よりわずかに軽いということになる。
豪米の研究チームは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の電波望遠鏡で大マゼラン雲を観測し、すでに可視光観測で知られていた15の惑星状星雲が強い電波を放っていることを発表した。大きいものは、質量が星雲の部分だけで太陽の2.6倍もあり、元の恒星が太陽の8倍程度だったことをうかがわせる。新しいタイプの天体、「スーパー惑星状星雲」とさえ呼べる規模だ。
研究チームを率いた豪・西シドニー大学のMiroslav Filipović教授は「これらの天体(惑星状星雲)から届く電波が検出できる、それも現在の世代の電波望遠鏡を使って観測できるとは思ってもいませんでした。私たちは、これらの天体が惑星状星雲であると100パーセント確信するまで3年間も発表を控えてきました」と話している。