LRO、月の永久影の温度を明らかに

【2009年9月29日 NASA

NASAの月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)が月の南極にあるクレーター内部の温度を計測し、マイナス238度以下という極低温であることを明らかにした。


(DLREが観測した月の南極の昼夜の温度)

DLREが観測した月の南極の昼(左)と夜(右)の温度。色により温度の違いを表す。単位は絶対温度 K(ケルビン)。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/UCLA )

月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)に搭載された6つの観測機器の1つ、熱放射測定器「DLRE」は、全球規模で月の温度を測定する。今年7月5日から稼動し、すでに月面の半分に相当する面積を観測した。

DLREから送られてきた最初のデータによって、南極のクレーター内部にある永久影(常に日が差さない領域)の温度が初めて明らかになった。永久影には、水の氷が存在する可能性が指摘されており、重要な観測ターゲットとなっている。

米・カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校で惑星科学の教授をつとめ、DLREの主任研究員でもあるDavid Paige氏は、「昼間の温度は、クレーター内部の複数の箇所で摂氏マイナス238度以下でした。私たちの知る限り、冥王星の表面を含め、太陽系でもっとも低い部類に入ります」と話している。

さらにPaige氏は、「観測された領域の温度は、水の氷やほかの揮発性物質の固体を長い間留めておくには、じゅうぶんな低さです。こうした天然の氷室が存在することは50年近く前から予測されていました。DLREが月の全表面の温度分布を明らかにしてくれることで、わたしたちは、これまでとはまったく違う新しい方法で月を見ることができます」と話している。