1回目の全天サーベイを終了した「WISE」が見たプレアデス星団

【2010年7月23日 NASAWISE

NASAの赤外線天文衛星WISEがとらえたプレアデス星団(M45、すばる)の画像が公開された。


(WISEによるプレアデス星団(M45)の画像)

WISEによるプレアデス星団(M45)。擬似カラーはそれぞれ、青・青緑:恒星の発する波長3.4μm、4.6μmの近赤外線、緑:暖かいちりの発する波長12μm、22μmの遠赤外線に対応。クリックで拡大(提供: NASA/JPL-Caltech/WISE Team/UCLA)

赤外線天文衛星WISEは、今年1月から今月17日までの約半年をかけて、赤外線による1回目の全天サーベイを行った。その間に撮影された画像は、100万枚という膨大な枚数である。公開されたWISEによるプレアデス星団の画像は、今年2月に撮影された数百枚の画像をモザイク合成したものであり、全天サーベイで得られたなかのほんの一部といえる。

プレアデス星団は散開星団の1つで、地球から約436光年の距離に位置している。この種の星団は、星同士の結びつきが弱いため、数億年後にはばらばらになってってしまう。画像には、差し渡し約20光年もの領域がとらえられており、やがて離れていく運命にある星団の星のほとんどを見ることができる。

画像中、緑色の擬似カラーで示されているのは、暖かいちりからの放射であり、星団がちりの雲に取り囲まれていることがわかる。初めて観測された際に、このちりの雲は星団が形成された後の残骸と思われた。しかし、その後の研究で、星団の年齢が1億歳ほどであることがわかった。どんなちりであっても、これほど長い年月が経てば、質量の大きな星からの放射や恒星風によって消散してしまうはずなので、たまたま星団がちりの雲を通過しているのだと考えられている。

今後、WISEはデータの精度を上げるために、約3か月をかけて全天の約半分をサーベイし、未発見の小惑星や星、銀河などの発見を目指す。