「マーズ・オデッセイ」が軌道修正 火星探査車着陸の中継準備
【2012年7月24日 NASA】
NASAの火星探査機「マーズ・オデッセイ」が24日、2週間後に迫った探査車「キュリオシティ」の着陸に備えた軌道調整に成功した。キュリオシティと地球との通信を中継する重要な役割を担う。
昨年11月に打ち上げられた「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)は現在火星に向かって順調に飛行中だが、来月6日の火星到着時に1つの山場を迎える。火星大気突入後、搭載の探査車「キュリオシティ」が地表に到達する前に地球が地平線下に沈んで探査機から見えなくなってしまうため、直接通信ができないのだ。
その間の通信中継を行うことになっている火星周回機「マーズ・オデッセイ」は、7月11日にトラブルによるセーフ・モードに入ってしまった。そのまま軌道修正を行わなければ、キュリオシティ着陸の2分後にその上空を通過することになっていた。
だが24日、マーズ・オデッセイは軌道修正スラスタを6秒間噴射して6分間分の前進に成功した。現在は正常に運用されている。
マーズ・オデッセイは2001年から火星探査を行っており、これまでに探査車「スピリット」「オポチュニティ」や着陸機「フェニックス」の通信中継も担ってきた最古参だ。それだけに、「新米の到着をサポートする特別な役割には適任」(プロジェクトマネージャーのGaylon McSmithさん)である。ヨーロッパの「マーズ・リコナサンス・オービター」(MRO)と「マーズ・エクスプレス」も降下中のMSLからの電波を受信することになっているが、マーズ・オデッセイにはデータのリアルタイム中継ができるという強みがある。
キュリオシティ着陸成功の確認シグナルはマーズ・オデッセイを経由して、日本時間8月6日午後2時31分に地球に届く予定となっている。