探査車「キュリオシティ」、火星に向け打ち上げ
【2011年11月28日 NASA/Russian Space Web】
26日、火星探査車「キュリオシティ」が米フロリダ州から打ち上げられ、火星に向かう軌道に乗った。来年8月6日に火星に着陸し、生命環境の歴史を本格的に探る予定だ。「フォボス・グルント」短信も。
11月26日午前10時2分(米東部標準時。日本時間27日午前0時2分)、NASAの火星探査車「キュリオシティ」が米フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられた。上空で上段ロケットを噴射してさらに加速し、火星に向かう軌道に乗った。10時45分ごろに上段ロケットが切り離され、直後には「キュリオシティ」との通信も確立している。
火星では現在、探査車「オポチュニティ」が2004年から観測を続けている。また上空からは、NASAの「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」、欧州の「マーズ・エクスプレス」も探査を行っている。
新顔のキュリオシティは小型トラクターほどのサイズで、従来の探査車に比べ格段に大きい。「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL:火星科学研究機)という正式名称にふさわしく、離れた地表のレーザー分析や粉末サンプル中の鉱物の特定など、これまでにない本格的な観測機能を備えている。火星の過去における温度環境や水の有無などの状況を明らかにし、生命が存在し得たかどうかを詳細に調べていく。
キュリオシティは火星到着までに6度の軌道修正を行い、2012年8月6日に「ゲール・クレーター」に着陸する予定だ。
「フォボス・グルント」との通信が一時復活
11月23日から24日にかけて、ロシアの火星探査機「フォボス・グルント」からの通信が復活した。
フォボス・グルントは11月9日の打ち上げ後、火星に向かう軌道に乗れず地球の上空で立ち往生し、通信が途絶えていた。23日午前5時25分(日本時間)ごろの通信セッションで、豪パースにある欧州宇宙機関(ESA)の地上局から探査機の送信機をオンにするコマンドを送ったところ確認の信号が返ってきた。続いてカザフスタンにあるロシア宇宙連邦宇宙局のバイコヌール局も通信に成功した。だがその後、25日と26日には探査機からの信号が再び途絶えている。次回の通信セッションは28日夜に予定されている。
探査機を開発したロシアのNPO Lavochkin社では、受信したテレメトリデータ(探査機の状態に関する情報)の解析や、探査機のトラブルの原因検証が行われている。