16日夜明け前に小惑星が地球に大接近 アマチュア機器でも観測可能
【2013年2月8日 NASA (1)/(2)】2月15日更新
2月16日午前4時半ごろ(日本時間)、数十mほどの大きさの小惑星が地表から地球約2個分の距離をかすめる。同サイズの天体がこれほど接近するのは珍しく、日本でも夜明け前の空で、高性能の双眼鏡や小型望遠鏡で見える明るさになると予測されている。
- 小惑星から地球を見た視点での動画を追加
- 明るい恒星を目印とした探し方の図を追加
小惑星2012 DA14が2月16日4時24分ごろ(日本時間)、地表から27700km(地球の直径およそ2個分)の距離まで最接近する。これは、静止衛星の軌道までの距離(地表から約36000km)よりも近いところだ。秒速7.8kmというスピードで地球のそばを南から北方向へかすめていくが、衝突の心配はない。
2012年2月にスペインで発見されたこの小惑星は、368日周期の地球に近い軌道を持つ。1年ごとに訪れる接近の中でも今回はとりわけその距離が近く、接近通過後は地球の重力の影響で公転周期が317日に縮まるとみられる。
推定サイズは幅45mで、この規模の天体が今回ほど接近するのは40年に1度程度と推測される。1908年には、このサイズの小天体が大気圏に突入したと考えられる「ツングースカ大爆発」が起こっている(参照:2008/7/2 天文ニュース「ツングースカ事件から100年 研究続く、天体の衝撃」)。
小惑星2012 DA14は7等級まで明るくなると予測されていて、比較的手軽な観測機器で見ることができる。ただしその動きは1分間に1度、つまり満月の見かけの大きさを30秒で横切ってしまうほどの速さなので、観測地点での予報位置をよく確認したうえで、大型の双眼鏡や小型の望遠鏡など視野が広めの道具で追跡するのがよいだろう。
日本では、16日未明3〜4時ごろに南西の空に現れ、北西の空高く上ったところで夜明けを迎える。当日の薄明開始時刻は4時56分(札幌)、5時2分(東京)、5時38分(福岡)となっている。
明るい恒星を目印に探そう(東京・福岡)
(右上画像3枚目「しし座付近での5分おきの動き」を部分拡大)
5時0分ごろ、3.3等のシェルタンと接近(左)。5時5分ごろ、2.6等のゾズマと接近(中)。5時25分ごろ、3等級の2つの恒星と接近(右)。
ステラナビゲータで小惑星2012 DA14を表示
天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」で小惑星2012 DA14を表示することができます。
◆ 小惑星2012 DA14をシミュレーション表示
- 小惑星2012 DA14のデータをオンラインで取得する
(方法:「ツール」メニュー →「データ更新」) - 小惑星2012 DA14を星図上で表示するよう設定する
(方法:「天体」メニュー →「小惑星」ダイアログで「2012 DA14」を検索し、「↑」ボタンで「表示小惑星」に移動する。「名称」「符号」など表示したい項目にチェック) - 小惑星2012 DA14が見える時刻(2月16日夜明け前の西の空)に設定する
◆ 小惑星2012 DA14の接近通過をアニメーション表示
ステラナビゲータの「お気に入り」メニューから、小惑星2012 DA14の接近通過の様子をアニメーション表示します。
- snsファイル(2013-02-16_2012DA14.sns)をダウンロード保存する
- ステラナビゲータの「お気に入り」一覧に、保存したデータを追加する
(追加方法:「お気に入り」メニュー →「お気に入りの整理」→「お気に入りフォルダを開く」→ 開いたフォルダにsnsファイルを入れる →「お気に入りの整理」ダイアログを閉じる) - 「お気に入り」メニューから「2013-02-16_2012DA14」を選択して表示する
ステラナビゲータでは、小惑星の軌道をより正確にシミュレーションするため、元期(epoch)が異なる複数の軌道要素を使用することができます。地球に接近し摂動によって軌道が大きく変化する小惑星2012 DA14についても、日本から見やすい時間帯となる2月16日3時〜6時(日本時間)の軌道要素を10分間隔で自動的に切り替えて使用するので、実際の空での見え方や太陽系内での移動の様子を高精度で確かめられます。
※NASAのデータと比較して、前述の範囲で最大5分角程度のずれとなります。また、0.7等ほど明るめに表示されます。