ケプラー回転する若い原始惑星系円盤

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【2014年1月16日 アルマ望遠鏡

アルマ望遠鏡による観測で、生まれたての恒星の周りに、太陽系天体と同じ法則で回転する大規模な原始惑星系円盤が見つかった。この星はこれまでの理論では円盤を持つと考えられていなかった若い段階のもので、惑星が生まれる場所である原始惑星系円盤の成り立ちを解明する大きな足がかりとなる成果だ。


VLA1623Aとその周囲の原始惑星系円盤

VLA1623Aとその周囲の原始惑星系円盤(イラスト)。成長途上のVLA1623Aは太陽の20%の質量しかないが、円盤は太陽〜海王星の距離まで広がっており、ケプラー回転している。原始星の両極方向に噴き出すガスジェットも描かれている。クリックで拡大(提供:N. Murillo et al.)

独マックスプランク地球外物理学研究所のナディア・ムリリョさんと台湾・国立精華大学のライ・シーピンさんらが、へびつかい座方向にある生まれたての恒星(原始星)「VLA1623A」をアルマ望遠鏡で詳しく調べた。その結果、以下のことがわかった。

  • VLA1623Aが、まだ成長中のひじょうに若い段階にあること
  • VLA1623Aの周囲には、ガスと塵(固体微粒子)でできた巨大な円盤(原始惑星系円盤)があり、この円盤が太陽系の天体と同じ法則に基づいた「ケプラー回転」をしていること

原始惑星系円盤とは、原始星を取り巻くガスや固体微粒子の円盤のことで、こうした円盤の中から惑星が生まれると考えられている。地球を含む太陽系の天体が、太陽に近い内側ほど速く外側ほど遅く公転する「ケプラー回転」を見せるのは、これら太陽系天体のふるさとである太陽周囲の円盤の、回転運動の名残りと考えられている。

これまでの研究では、VLA1623Aほど若い段階の星の周りにケプラー回転をする円盤が作られるとは考えられていなかった。だが今回の発見により、これまでの理論でじゅうぶん考慮されていなかった何かが円盤の形成に重要なはたらきをしている可能性が浮かび上がった。最新の理論研究では、以下のような条件が可能性として指摘されているという。

  • 原始星の母体となったガスの集合体を貫く磁力線の方向と原始星の自転軸がずれている場合
  • ガスの集合体の内部で激しい乱流が生じている場合

今回の観測成果をもとにした検証が行われ、原始惑星系円盤の成り立ちが明らかになっていくことが期待される。