謎多き超新星残骸G352

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【2014年4月14日 NASA

天の川銀河の中で2200年前に起こった超新星爆発の残骸をX線天文衛星「チャンドラ」が観測した。爆発後にできたはずの中性子星が見当たらず、主なX線源となる物質が通常と異なるなど、謎が多い天体だ。


超新星残骸G352

さそり座方向およそ2万4000光年彼方の超新星残骸G352。ピンクが電波像(米超大型電波干渉計の撮影)、青がX線像(X線天文衛星チャンドラ)。クリックで拡大(提供:X-ray: NASA/CXC/Morehead State Univ/T.Pannuti et al.; Optical: DSS; Infrared: NASA/JPL-Caltech; Radio: NRAO/VLA/Argentinian Institute of Radioastronomy/G.Dubner)

太陽よりはるかに重い恒星は、その一生の最期に大爆発を起こす。膨大なエネルギーや物質を放出しながら銀河そのものと同じくらい明るく輝く超新星は、毎日のように発見されているが、そのほとんどは遠方の銀河で発生したものだ。天の川銀河内では大体100年に2回ほど発生する(はずだが、ここ400年以上見つかっていない)。

画像は、天の川銀河で2200年前に爆発したとみられる超新星残骸G352(G352.7-0.1)だ。少しつぶれた円形のような電波放射(ピンク)の中にX線放射(青)が見えるという不思議な形をしている。

不思議なのは形状だけではない。最近の研究から、このX線の主な源が3000万度という高温の爆発デブリであることがわかった。爆発からの時間がG352と同じくらい経った多くの超新星残骸の場合、その主なX線源は衝撃波とぶつかって押しのけられた周囲の物質とされているので、G352は珍しい例ということになる。

G352の爆発によって押しのけられた周囲の物質は太陽45個分もの量があり、これは天の川銀河内の超新星残骸としては大量だ。爆発前の星の周囲に大量の物質があったのかもしれない。

また、残骸の中心には中性子星が残るはずだが、全くそれらしいものが見当たらない。暗すぎて見えないのか、あるいは中性子星ではなくブラックホールが生成されたのだろうか。G352にまつわる多くの謎を、研究者たちは解き明かそうとしている。