【訃報】彗星観測家ウィリアム・ブラッドフィールド氏
【2014年6月17日 ICEINSPACE】
数々の彗星を発見したことで知られるオーストラリアのアマチュア天文家、ウィリアム・ブラッドフィールド氏が9日死去した。享年86歳。
豪アマチュア天文家のウィリアム・アシュリー・ブラッドフィールド(William Ashley Bradfield)さんが6月9日に亡くなった。
1927年ニュージーランドで生まれたブラッドフィールドさんは大学卒業後オーストラリアに移住し、ロケット推進システムの研究をするかたわら、1970年ごろから天体観測をはじめた。1972年3月のC/1972 E1を初めとして、2004年までに18個の彗星をすべて眼視で発見した。最後の発見となったC/2004 F4は、近日点通過後の4月下旬に日本でも明け方の空に3等級で見えた。
天文学への貢献により、1981年には豪天文学会よりベレニス&アーサー・ページ・メダルを受章、1989年にはオーストラリア勲章(MA)を受勲している。また、氏の名前は小惑星(3430)「Bradfield」にも刻まれている。
彗星観測者の門田健一氏(アストロアーツ)コメント
1981年の年始、夕空に見られた彗星(C/1980 Y1)はフィルム時代に撮影して、ほうき星に興味を深めた天体のひとつでした。
2004年には、明け方の低空に見え始めた彗星(C/2004 F4)を冷却CCDでとらえて、精密位置測定を行いました。自分の天文ライフの中で、天体写真の被写体として彗星を追いかけていたころから彗星観測者になるまで、長きにわたり活躍されていたコメットハンターです。氏の逝去に際し、謹んで哀悼の意を表します。