互いに傾いた原始惑星系円盤を連星系で発見
【2014年8月1日 アルマ望遠鏡】
連星系おうし座HK星を構成する2つの若い星をそれぞれ取り囲む原始惑星系円盤が、お互い傾いた面を持つことがわかった。大きくゆがんだ軌道や傾いた軌道を持つ系外惑星の起源の謎を知る手がかりになると考えられる。
約450光年彼方のおうし座HK星は、誕生後500万年以内という2つの若い星がお互いを回り合う連星系だ。2つのうち暗い方のB星を取り囲むガスと塵の円盤(原始惑星系円盤)はこれまでにも観測されていたが、米・スワースモア大学のエリック・ジェンセンさんらがアルマ望遠鏡を用いて、主星Aの円盤を初めてミリ波でとらえることに成功した。
その結果、A星とB星の円盤は互いに60度以上の角度を成していることがわかった。つまり2つの円盤は連星系の軌道面と同じ面にはなく、少なくとも1つの円盤が大きく傾いているということになる。こうした円盤の中で作られる惑星は、もう一方の星の重力の影響を受けて軌道が傾いたりゆがんだりする。
ジェンセンさんは「私たちの観測結果は、惑星の軌道を乱すメカニズムが惑星誕生の段階に存在していることを示しています。そして、親星である連星の形成過程に大きく影響を受けているようです」とコメントしている。「他の説を棄却することはできませんが、連星であることが大きく影響していることは確かです」。
研究チームは今後、おうし座HK星のように原始惑星系円盤の向きがそろっていない連星系が一般的なものなのか、それとも珍しいものなのかを調べたいと考えている。