太陽よりも古かった、地球の水の起源
米大学での研究から、太陽系の水の大部分は、その起源が太陽の誕生より前とみられることがわかった。他の惑星系における水の存在を占ううえで重要な成果だ。
【2014年9月30日 カーネギー科学研究所】
地球の生命にとって不可欠の存在である水は、地球だけでなく月や火星、そして水星の永久影、彗星など、太陽系の至るところに見つかっている。太陽系の水は、生まれたての太陽を取り囲んでいた塵とガスの円盤(原始太陽系円盤)の中に存在していた氷が起源とされる。この円盤の中で、私たちの地球などの惑星も形成された。
だが、この水分子は太陽が誕生する前の分子雲に存在していたものが取り込まれたのか、それとも原始太陽系円盤内での化学反応で生成されたものかはわかっていなかった。もし恒星間空間で作られた水がそのまま取り込まれるのなら、多くの原始惑星系円盤には大量の水が存在することになるし、円盤中で作られるのなら、円盤ごとに水の量が異なってくる。そしてそれは、その惑星系での生命の可能性に関わってくるのだ。
宇宙空間の分子雲で生成された水が、誕生したばかりの太陽系に取り込まれた(提供:Bill Saxton, NSF/AUI/NRAO)
米・ミシガン大学のIlse Cleevesさんらは、円盤中のみで水が作られるとしてシミュレーションを行い、太陽系の水に見られる特徴(水素に対する重水素の比率)を満たさないことを明らかにした。恒星間空間の低温環境で生成される重水素が豊富な水を取り込んでいなければ、観測と一致しないのだ。太陽系の水の3割から5割は、太陽が生まれる前の恒星間空間で作られたようだという。
この結果はさらに、ほぼすべての生まれたての惑星系に有機物豊富な水の氷が大量に含まれている可能性が高いことを示しており、たいへん興味深い成果となった。