史上最軽量の超大質量ブラックホール

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矮小銀河の中心に、太陽の5万倍の質量を持つブラックホールが見つかった。銀河中心にある超大質量ブラックホールとしては史上最も軽いもので、こうした天体がどのように作られるかを知る手がかりとなる。

【2015年8月14日 Chandra X-ray Observatory

へび座の方向約3億4000万光年彼方の矮小銀河「RGG 118」をNASAのX線天文衛星「チャンドラ」とチリの口径6.5mクレイ望遠鏡で観測したところ、その中心に「軽い」超大質量ブラックホールが見つかった。

銀河「RGG 118」。(中央)可視光線、(右上)X線
銀河「RGG 118」。(中央)可視光線、(右上)X線(提供:X線:NASA/CXC/Univ of Michigan/V.F.Baldassare, et al、可視光線:SDSS)

銀河中心付近のガスの運動から、ブラックホールの質量は太陽の5万倍と見積もられた。銀河中心の超大質量ブラックホールとしては、従来知られていた最も軽いものの半分以下である。天の川銀河の中心にあるブラックホールと比べると100分の1、最も重い超大質量ブラックホールと比べると20万分の1に過ぎない。

その軽さの一方で、RGG 118の中心ブラックホールに吸い込まれる高温ガスの特徴は、他の超大質量ブラックホールに見られる性質と一致している。また、ブラックホールの質量と銀河中心の星々の速度範囲には一定の関係があることが知られており、RGG 118でも同様の関係にある。

「軽い超大質量ブラックホールも、重いものとよく似たふるまいを見せることがわかりました。つまり、銀河中心のブラックホールは質量に関わらず同じように成長するということです」(ミシガン大学 Amy Reinesさん)。

超大質量ブラックホールは、種となる小さいブラックホールが合体を繰り返すことで形成されると考えられているが、その種の作られ方には主に2つの説がある。太陽の1万倍から10万倍程度の質量を持つガス雲が崩壊してできるというものと、太陽質量の100倍という巨大な星が燃料を使い果たし超新星爆発を起こした後にできるというものだ。

どの形成モデルがより正確なのかを知り、ブラックホールの成長に関してさらに理解するため、軽い超大質量ブラックホール探しは続く。

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