宇宙飛行士の母と娘の絆 映画『約束の宇宙』

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女性宇宙飛行士の夢と子育ての両立を描く映画『約束の宇宙』が本日公開される。

【2021年4月16日 星ナビ編集部

紹介:藤井龍二

女性宇宙飛行士の映画は意外に少ない。『エイリアン』のリプリーや『オデッセイ』のメリッサ、『ゼロ・グラビティ』のライアンなどが思い出されるが、どの女性も生活感はなかった。しかし、今回紹介する映画『約束の宇宙』で登場するのは「幼い娘の母親」という、働く女性のリアルな姿だ。

主人公であるフランス人のサラは火星を目指す「プロキシマ」計画の宇宙飛行士の一員になったことで、ISS(国際宇宙ステーション)へ滞在するための訓練を受けることになる。しかし離婚してシングルマザーのため、7歳の愛娘ステラと離れて暮らさねばならない。さらに宇宙に行けば1年間も会えなくなる。娘に寂しい思いをさせてまで厳しい訓練を続けて宇宙に行くべきなのか?

サラを演じるのはフランス人女優のエヴァ・グリーン。今回は実際に宇宙飛行士に会って役作りに活かしたそうだ。物語の中では、社会で働く女性の葛藤や成長が細やかに描写されている。

物語の中でESA(ヨーロッパ宇宙機関)やロシアの宇宙施設がしっかり描かれているのも見応えがある。撮影にはESAが全面的に協力し、ロシアのスターシティでの訓練や生活、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地の様子が丁寧に描かれる。カメラワークが飛行士目線なので、あたかも自分がクルーになったかのような気分になる。将来、宇宙を目指す人には模擬訓練ともいえそうな内容なので、ぜひとも大きなスクリーンで体感してほしい。

映画『約束の宇宙』は4月16日公開。TOHOシネマズ シャンテほかで全国ロードショー。なお、ビクセンでは映画『約束の宇宙』とのコラボキャンペーンを行っている。

星ナビ2021年5月号にてレポートを掲載)。

約束の宇宙
訓練中の主人公・サラと娘・ステラが再会する場面。作品にはESAでの細かいリサーチや実際の女性宇宙飛行士へのヒアリングが反映されている。© Carole BETHUEL © DHARAMSALA & DARIUS FILMS

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