板垣さん、こぎつね座に新星を発見

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山形県の板垣公一さんが7月16日、こぎつね座に12等級の新星を発見した。

【2021年7月26日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

7月16日に、こぎつね座の中に12等級の新たな新星が発見されました。発見したのは、山形県山形市の板垣公一さんです。

板垣さんは7月16.475日(世界時、以下同。日本時では20時24分ごろ)に、焦点距離180mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から、こぎつね座の中に12.0等の新天体を発見しました。この天体は板垣さん自身によって口径50cm望遠鏡で確認された他、北海道なよろ市立天文台や千葉県の清田誠一郎さんなど多数の観測者によっても確認観測が行われました。この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  20h21m07.70s
赤緯 +29°14′09.3″(2000年分点)

確認画像
確認画像(撮影:板垣さん)

こぎつね座の新星の位置
こぎつね座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

発見前日の15日に撮影された画像には、この天体の位置には14.2等よりも明るい天体は写っていないことから、この天体はわずか1日ほどの間に明るくなったことがわかりました。

天体の分光観測は7月16.915日にイギリスのR. Leadbeaterさん、17.102日にイタリアのグループによってそれぞれに行われました。それらの結果によると、この天体のスペクトルにはP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー輝線の他、一階電離した窒素や中性ヘリウムの輝線が見られること、P Cygプロファイルの吸収線は輝線に対して秒速1400kmほど青方偏移していることなどがわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが確認されました。

発見後の観測によると、この新星は発見後の7月18-19日ごろには13等ほどまで暗くなったものの、その後再び明るくなりはじめ、7月23日夜には12等台前半で観測されました。今後の明るさの変化などが注目されます。

板垣さんの(超新星ではない)新星発見は2019年9月のさそり座新星以来です。

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