いて座に今年3個目の新星、小嶋さんが独立発見

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3月24日、いて座に約12等級の新星が出現した。群馬県の小嶋正さんが独立発見している。

【2025年3月28日 高橋進さん/CBATVSOLJニュース

群馬県の小嶋正さんが3月23.763日(世界時、以下同。日本時では24日3時19分ごろ)にいて座付近を撮影した画像から、13.5等の新天体を発見しました。この天体は24.0555日(日本時1時20分ごろ)に、ロシアのNMW(ニューミルキーウェイ)サーベイチームも12.2等で発見し、小嶋さんよりも早く天体出現の報告を行いました。

24.8337日(日本時25日5時01分ごろ)には山口県の吉本勝己さんによって確認観測が行われ、11.02等と少し明るくなっていることも報告されました。

確認画像
確認画像(撮影:吉本さん

新天体の出現報告を受けて岡山県の藤井貢が分光観測を行ったところ、P Cygプロファイルを伴ったHα輝線が認められ、光球の膨張による青方偏移は約600km/sと測定されました。また、南アフリカ天文台の反保雄介さんによる分光観測からもP Cygプロファイルを伴った輝線や700km/sの青方偏移が観測され、この天体が古典的新星であることが確認されました。

新星のスペクトル
新星のスペクトル(提供:藤井さん、Hα輝線部の追記は高橋さんによる)

新星の位置
新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

小嶋さんの新星発見は昨年3月以来となります。

この天体は発見後もゆっくりと増光を続けており、今後どのような光度変化を見せるかたいへん興味深いところです。ぜひ多くの皆さんの観測をお願いします。

新星の光度曲線
新星の光度曲線(CBATとVSOLJメーリングリストの報告から高橋さん作成)

また、同じいて座の天体で、1月26日に櫻井幸夫さんが発見された新星V7991 Sgrがまだ11等台後半で、1月29日に板垣公一さんが発見された新星V7992 Sgrも12等台を推移しています。あわせて引き続いての観測をお願いします。