小嶋さん、原始星の増光現象を発見

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7月30日、群馬県の小嶋正さんが、こぎつね座に約13等の突発天体を発見した。おおかみ座EX型星と呼ばれる、原始星での増光現象とみられている。

【2023年8月18日 高橋進さん】

群馬県嬬恋村の小嶋正さんが、7月30日1時13分(日本時間)に撮影した画像より12.8等の突発天体を発見しました。位置は以下のとおりで、こぎつね座の領域にあります。

赤経  19h18m37.29s
赤緯 +21°27′22.2″(2000年分点)

こぎつね座の突発天体の位置
こぎつね座の突発天体の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

複数の確認観測や過去の記録の見直しなどによると、この位置にはZTF J191837.29+212722.1という天体があること、4~5月くらいからこの天体が明るくなってきたことがわかりました。

確認画像
確認画像(撮影:清田誠一郎さん)。画像クリックで全体を表示

突発天体の光度
突発天体の光度(ATLASおよびCBAT、VSOLJデータより高橋さん作成)

増光天体というと、新星がまず頭に浮かびます。比較的ゆっくりと増光していることから共生星新星の可能性が高いと思われましたが、京都大学岡山天文台のせいめい望遠鏡や岡山県の藤井貢さんたちの観測によると、おおかみ座EX型変光星と呼ばれる原始星での増光現象とみられています。

恒星は星雲の中で誕生しますが、おおかみ座EX型星はまさに恒星誕生直前の天体です。星雲内部で集まった水素ガスが重力で収縮し、中心部が高温になると周囲に熱放射を始めます。この段階の天体は周囲に原始惑星系円盤を持ち、円盤内部でガスは恒星へと落下していきます。こうした急激なガスの落下が起こる時に増光が観測されると考えられています。

おおかみ座EX型星の想像図
おおかみ座EX型星の想像図(作成:高橋さん)

これまでにもこうした現象は見られていますが、なかなか貴重で珍しいものです。観測しやすい時期でもありますので、ぜひ多くの皆さんでの観測をお願いします。

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