近傍銀河に潜むガスと塵に隠された超大質量ブラックホール
【2017年1月12日 NASA JPL】
多くの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数億倍にも及ぶ大質量のブラックホールが存在していると考えられている。ブラックホールに飲み込まれる物質が高温になることで電波からX線まで莫大な電磁波が放射され、銀河の中心は非常に明るい「活動銀河核」として観測される。
活動銀河核の向きや、その周辺にどのような物質がどのくらい、どういう方向に存在しているかによって、活動銀河核の見え方は大きく異なる。周囲がドーナツ状の厚いガスや塵で覆われて隠されていると、中心部を外の横から直接見ることは難しい。
英・ダラム大学のAdy AnnuarさんたちがNASAのX線天文衛星NuSTARで観測したのは、こうした「隠された」活動銀河核から放射され、周囲のドーナツ型の構造で反射したX線だ。
地球から1億7000万光年の距離に位置するケンタウルス座の銀河「IC 3639」のNuSTARによる観測データを、NASAのX線望遠鏡「チャンドラ」と日本のX線天文衛星「すざく」のデータと比較したところ、この銀河が明るいのは活動銀河核の存在によるものだと確認された。つまり銀河の中心には隠された超大質量ブラックホールが存在していることになる。 別のターゲットとなったNGC 1448は地球から3800万光年彼方の、おうし座にある渦巻銀河だ。宇宙規模ではごく近くにあると言えるこの銀河の中心にブラックホールが見つかったのは2009年のことである。
観測データから、NGC 1488にはIC 3639と同様に、中心の超大質量ブラックホールを隠す厚いガスや塵が存在するはずであることが初めて明らかにされた。また、NGC 1488では500万歳という若い星の大集団も発見されている。
「NuSTARによって、私たちのすぐ近くに存在する宇宙のモンスターに関する情報が得られることは、実にエキサイティングです」(NASAジェット推進研究所 Daniel Sternさん)。
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