生命の兆候探しに最適かもしれないスーパーアース
【2017年4月21日 ヨーロッパ南天天文台】
米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのJason Dittmannさんたちの国際研究チームが、ヨーロッパ南天天文台ラ・シーヤ観測所での観測から、くじら座の方向約40光年先に位置する赤色惑星「LHS 1140」の周りを回る新たな系外惑星LHS 1140bを発見した。
この惑星は直径が地球の1.4倍程度の「スーパーアース」に分類される。質量は地球の7倍もあり、大気のほとんどを保持しているとみられている。非常に高密度であることから、惑星は岩石質で中心に鉄の核が存在することが示唆される。
中心星LHS 1140から惑星までの距離は、太陽・地球間の10分の1程度(太陽・水星間の4分の1程度)しかない。しかしLHS 1140は太陽よりもはるかに小さく(直径が太陽の2割未満)表面温度もかなり低い(3000K程度)ため、惑星が中心星から受ける放射は太陽光の半分ほどになる。結果として、惑星はこの系のハビタブルゾーンの中に位置している。
また、惑星は25日ごとに中心星の手前を通過し、星の光をわずかながら遮って弱くする。
こうした条件、つまり「岩石質の惑星で大気がありそうなこと」「ハビタブルゾーンに位置していること」「一定の周期で星の光を透かして大気の様子を観測するチャンスがあること」から、この惑星LHS 1140bは、大気中に見られるかもしれない生命活動の兆候を探すターゲットとして最も適した天体となりうるという。太陽系から近い距離にあることも大きなメリットだ。
この一年以内に、地球から4光年先に位置する赤色矮星「プロキシマケンタウリ」や約40光年彼方の赤色矮星「TRAPPIST-1」の周囲のハビタブルゾーンに、相次いで地球サイズの系外惑星が発見されてきたが、今回のLHS 1140bはそれらよりも重要なターゲットとなりそうだ。近々ハッブル宇宙望遠鏡による観測が行われる予定で、どれほどのエネルギーがLHS 1140bに降り注いでいるのか評価されることになっている。それによって、生命が存在可能かどうか、より正しく推測できるだろう。
「過去10年見てきたうちで、もっともエキサイティングな系外惑星です。地球外生命の存在証拠探しのターゲットとして、これ以上のものは望めないでしょう」(Dittmannさん)。
〈参照〉
- ヨーロッパ南天天文台: Newly Discovered Exoplanet May be Best Candidate in Search for Signs of Life
- Nature: A temperate rocky super-Earth transiting a nearby cool star 論文
〈関連リンク〉
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