1時間で15回も検出された高速電波バースト
【2017年9月5日 Berkeley News】
高速電波バーストは遠方宇宙で発生する、非常に短時間の電波フラッシュ現象だ。オーストラリアのパークス電波望遠鏡によって初めて検出されて以来、世界の複数の電波望遠鏡が観測を続けているが、その発生源はほとんどわかっていない。
そのうち、2012年11月2日にぎょしゃ座の方向で検出された「FRB 121102」は、現時点で唯一の何度も繰り返し発生する高速電波バースト源で、これまでに150回以上もバーストが検出されている。発生源は地球から約30億光年彼方の矮小銀河であることが昨年明らかになっているが、バーストが繰り返される理由ははっきりしていない。極度に強い磁場を持ち自転する中性子星「マグネター」で起こるアウトバーストではないかといったものから、地球外知的生命体が探査機を推進させるために放つ強力なレーザーバーストなのではないかという憶測にまで及んでいる。
FRB 121102の電波バーストの発生メカニズムを明らかにするため、何度も電波望遠鏡が向けられてきた。そして先月下旬に「Breakthrough Listen」プロジェクトが行った観測により、わずか1時間ほどの間に15回もの高速電波バーストが検出された。「FRB 121102が新たな活発な状態にあることを確認しました。観測で得られた高解像度のデータで、謎めいたバーストの特性がこれまでで最高の精度で測定できるでしょう」(同プロジェクト Vishal Gajjarさん)。
なお、2015年に始まったBreakthrough Listenの元々の目的は知的生命体の存在証拠探しであり、世界各地の複数の電波望遠鏡を用いて多数の恒星や銀河を観測している。「高速電波バーストが地球外テクノロジーによるものであるかないかにかかわらず、Breakthrough Listenは私たちの周りにある宇宙を理解することを目的とした、急速に成長しつつある新たな分野のフロンティアを押し進める役割を担っています」(同プロジェクト Andrew Siemionさん)。
〈参照〉
- UC Berkeley News:Distant galaxy sends out 15 high-energy radio bursts
- The Astronomer's Telegram:#10675: FRB 121102: Detection at 4 - 8 GHz band with Breakthrough Listen backend at Green Bank
〈関連リンク〉
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