なぞの高速電波バーストを初めてリアルタイムで観測
【2015年1月21日 Swinburne University of Technology/Carnegie Science】
高速電波バーストは数千分の1秒という短い現象で、これまでリアルタイムで観測されたことがなかった。過去に観測されてきたバーストの数もたった7つとひじょうに少なく、初めて観測されたのは2007年のことだ。
「これまでの7つのバーストは、発生から数週間や数か月、場合によっては10年以上後に観測データから見つかったものでしたが、わたしたちは、初めてリアルタイムでの観測に成功しました」(豪・スウィンバーン工科大学のEmily Petroffさん)。
パークス電波望遠鏡での観測後、世界中の望遠鏡や人工衛星「スウィフト」がバーストに向けられた。観測で得られたデータから、バーストの発生場所は地球から約55億光年離れていることわかった。その距離から電波バーストはひじょうに明るいと推測され、数ミリ秒の間に太陽が一日に放つエネルギーが放射されたと考えられている。
観測により、これまでバーストの起源と考えられてきた候補のいくつかが除外された。正体は不明のままだが、強い磁場を持つ中性子星「マグネター」を起源とするショートガンマ線バーストや、中性子星が崩壊してブラックホールへと変化する現象などの可能性がある。
〈参照〉
- Swinburne University of Technology: Cosmic radio burst caught red-handed
- Carnegie Science: Caught in the act: Cosmic radio burst
- Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: A real-time fast radio burst: polarization detection and multiwavelength follow-up 論文
〈関連リンク〉
- CISRO: http://www.csiro.au/
〈関連ニュース〉
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