若い星の周りに生まれたばかりの惑星の存在証拠

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アルマ望遠鏡による若い星の観測から、誕生直後の3つの惑星の存在を示す確かな証拠が得られた。

【2018年6月22日 アルマ望遠鏡ヨーロッパ南天天文台

太陽以外の恒星の周りを回る系外惑星はこれまでに4000個近く発見されているが、生まれたばかりの「原始惑星」については、いまだ確実な証拠は見つかっていない。

若い星を取り巻くガスや塵の円盤をアルマ望遠鏡で詳細に観測すると、その円盤中に何本もの隙間が見られるものがある。この隙間は形成中の惑星によって作られていると考えることができるが、惑星以外でも隙間ができるという説もあった。

豪・モナシュ大学および仏・グルノーブル惑星天体物理学研究所のChristophe Pinteさんたちの研究チームと、米・ミシガン大学のRichard Teagueさんたちの研究チームは、若い星を取り巻く円盤のガスの動きをアルマ望遠鏡で詳細に調べ、星の周りに誕生直後の惑星が3個存在する確かな証拠を発見した。

両研究チームが観測したのは、いて座の方向330光年の距離に位置する「HD 163296」を取り巻く円盤だ。HD 163296の質量は太陽の約2倍で、年齢は太陽の1000分の1ほどにあたる約400万歳と見積もられている。

「HD 163296」の周りの円盤
「HD 163296」の周りの円盤。塵の分布を表している(提供:ESO, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); A. Isella; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF))

惑星の存在証拠を発見するために、両研究チームは、星の周りの円盤に含まれる一酸化炭素分子が放つ特定の波長の電波を観測するという新しい手法を採用した。一酸化炭素分子が動くとドップラー効果が起こり、波長にわずかな変化が生じる。もし円盤内に惑星が存在していれば、惑星の重力によって局所的にガスの動きが乱されるはずで、それが惑星発見の決め手となる。この手法では、惑星の質量をより正確に求めることができ、実際には存在しないはずの惑星を誤認してしまう可能性も低い。

HD 163296を取り巻くガスの円盤の一部
HD 163296を取り巻くガスの円盤の一部。画像中央やや左側に見られる「く」の字状の折れ曲がりが惑星の存在を示す証拠となる(提供:ESO, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); Pinte et al.)

Teagueさんたちは中心星から120億および210億kmの距離に、またPinteさんたちは中心星から390億kmの距離に、それぞれ惑星の存在証拠を発見した。これは、太陽と地球の距離のそれぞれ80、140、260倍の位置に相当し、中心星からとても遠いところを回っていることがわかる。惑星の質量は木星の1~2倍程度とみられる。

アルマ望遠鏡による観測でこれほど確かな太陽系外惑星の証拠が得られたのは、これが初めてのことだ。「原始惑星系円盤のガスの動きを測定することで、そこに惑星があるということをより確実に言えるようになりました。この方法は、惑星形成を理解するための新しい道筋を示してくれているのです」(Pinteさん)。

「私たちが注目したのは、星を取り巻く円盤のなかに局所的に現れる小さなガスの動きです。アルマ望遠鏡の高い解像度のおかげでこれを見つけることができ、観測史上最も若い惑星の発見に結びつきました」(Teagueさん)。

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