毛利シャトル連載第3回EarthKAMでシャトルに乗った気分に!
【2000年1月30日 2月13日更新】
まず、前回の記事「毛利さんの乗るエンデバーを見つけてみよう」の作成後に、最新の解析によりシャトルの肉眼による観察が難しくなったことを、お伝えいたします。(宇宙開発事業団の発表ページより)。 ※ シャトルの打ち上げ日時が変更になったことにより、肉眼による観察が可能になりました。(2月13日UPDATE) さて今回は、毛利さんの搭乗する今回のスペースシャトルのミッションでは、いったい何が行われるか? といった話題です。ミッションの中身を探ってみると、これがなかなかのものなのです。 今回のシャトルには主にふたつの任務が課されています。ひとつは主目的であるレーダーによる地形測量ミッション。もうひとつがシャトルに搭載するカメラによる教育プログラムです。 ※ 前回の記事の中で、リンク漏れや表示が乱れる部分がありましたことをお詫び致します。
日本の中高校生も参加する EarthKAM教育プログラムもし、スペースシャトルに乗ることができたら、シャトルから存分に地球を眺めてみたい、だれしもがそう思うことでしょう。そんな夢を実現できる気分になれるのが、このEarthKAM教育プログラムです。EarthKAMとは"Earth Knowledge Acquired by Middle School Students"の頭文字を取ったものです。このプログラムを一言でいえば、シャトル打ち上げ後に取りつけられるカメラを地上から遠隔操作して、世界中のいろいろな場所の写真を撮影し、それを教育に役立てる、といった内容になります。つまり、シャトルの移動に合わせて地球のいたる場所を訪れ、ここぞと思う場所でシャッターを押すことができるのです(*)。シャッターを押すことができるのは、地上にてこのミッションに参加する、アメリカ・イタリアそして日本の中学・高校生たち。日本からも4校が参加します。 (*):実際には、あらかじめ撮影場所のリクエストを「撮影指示コマンド」として出しておき、リクエストに合わせて自動撮影されます。 そして、撮影された写真はシャトルが地球の夜の地域に入ったときに地上に送信され、撮影後数時間後に指定のWebサイトに公開されることになっています。 この公開された画像はインターネットを通じて世界中から見ることが可能です。ですので、シャッターを押すことはできませんが、刻々とアップされる最新画像を見ることによって、一般のわたしたちもこのミッションの成果をリアルタイムに近い形で体験することができるのです。
シャトル搭載カメラは、ニコンボディベースのコダックのデジカメここで興味深いのは、EarthKAMプログラムで使われる撮影機材。撮影に使われるカメラはコダックのデジタルカメラDCS460です。このカメラは約620万画素のプロ用のデジカメとして1995年に一般に発売されたもので、その外観を見れば、このカメラを見たことがあるという人も多いでしょう。外観からわかるように、このカメラはニコンのN90s(F90sのアメリカでの名前)をベースにしてデジタルカメラ化したものです。ですので、その光学部分はニコンの一眼レフカメラと同じものとなっています。(宇宙開発事業団のページのシャトル搭載カメラの解説)また、このカメラに撮影指令を送るのは、IBMのノートパソコンThinkpad755Cで、撮影画像は260MBのPCMCIAのハードディスクカードに保存されます。これらもありふれた機材ですから、このページを読んでる方の中にも、同じものを持っている(いた?)方がいらっしゃるのではないでしょうか? このような、よく目にするような機材を使ってスペースシャトルからの写真が撮影されるのです。(宇宙開発事業団のページのシャトル搭載コンピュータの解説) このカメラは、シャトルのフライトデッキの頭上ウインドウに取り付けられ、シャトルから見てちょうど真下にあたる地点が撮影されます。DCS460には焦点距離50mmのレンズが取りつけられ、約130km×86kmの領域が一度に撮影できます。このデジカメは3060×2036画素ありますので、地上の約42mの大きさのものが識別できる計算になります。
シャトルからの画像が公開される場所は? 過去に撮影された画像は?
これまでにシャトルから撮影された、25万枚以上の写真が集まっているのはココ!
EarthKAMは、建設中の国際宇宙ステーションでも実施される予定以上のように書いてきましたEarthKAMプログラムが実施されるのは、現在はシャトルが飛行する期間に限られています。しかし将来的には、現在組立が進んでいる国際宇宙ステーションでも実施される予定があるそうです。 今回は以上です。次回は、今回のミッションの主目的であるレーダー地形測量ミッションはここがすごい!ということについて、お話したいと思います。
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