土星探査機カッシーニが明らかにした、木星の縞模様の謎

【2003年3月10日 JPL News Release

木星の目立つ構造の一つにきれいな縞模様があるが、その縞模様部分における大気の動きについて、従来考えられていたのとはまったく正反対の結果が土星探査機カッシーニの観測から得られた。

(木星とイオの写真)

カッシーニが最後に撮影した木星(2001年1月)。木星の左やや上に見えているのは衛星イオ(提供:NASA/JPL/University of Arizona)

発表によると、木星の縞のうち色の濃い部分は全体として上昇気流が吹いており、逆に色の薄い部分では下降気流になっているということである。これまでは、地球で雲が発生する部分が上昇気流であるということとの類推から、色の薄い縞の部分が上昇気流であると考えられていたのだが、実はまったく反対だったというわけだ。

カッシーニは2004年7月から土星の周りを周回して観測を開始する予定で、現在は土星に向かって航行中だ。約2年前に木星のそばを通過した際、土星本体や衛星、リングなどの写真を6か月以上かけて26000枚ほど撮影し、そのデータから木星について多くの新しいことがわかってきている。

今回の発表では縞模様部分の大気の動きのほか、リングを構成する粒子がいびつな形をしていることや北極付近に大赤斑に匹敵するほど大きな渦巻きがあることなどが明らかにされた。来年以降、カッシーニが土星についてどんな新しい発見をもたらしてくれるのか、大いに期待したい。