前代未聞の天文イベントへ、準備進行中
更新日:2005/06/29
【2005年6月3日 ESA News】
7月4日にディープ・インパクト(探査機による衝突)を控えたテンペル彗星(9P/Tempel)の画像が公開された。これは、ヨーロッパ南天天文台のNTT望遠鏡(The European Southern Observatory New Technology Telescope)が捉えたもの。前代未聞の天文イベントであるディープ・インパクトでは、重量370キログラムのインパクター(衝突機)が、彗星表面に人工的なクレーターをつくり、彗星内部はもちろん、そこから放出されるガスの流れやちりなどの物質について観測する。
この一大イベントの様子は、フライバイ機(探査機本体)から観測される。フライバイ機はインパクターを切り離した後、彗星から500キロメートルほどの位置で衝突の瞬間を観測し、ほぼリアルタイムでデータを地球に送る。しかし、フライバイ機やインパクターに搭載されている観測機器は限られている。そこで、プロとアマチュアの観測者の世界的なネットワークが、宇宙と地球の望遠鏡を動員し、ディープ・インパクトの一部始終を観測しようとしている。
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の彗星探査機ロゼッタ、XMM-ニュートンX線観測衛星もハッブル宇宙望遠鏡などと共にこのイベントの観測を行う予定だ。なかでも、地球を離れ宇宙空間を飛行中のロゼッタは、もっとも有利な場所で、搭載された強力な機器を駆使し観測を行うことになっている。