木星の2つの赤斑、いよいよ最接近
【2006年7月12日 アストロアーツ】
木星の「中赤斑」が、いよいよ「大赤斑」と並ぶときがきました。最新の情報によれば、南北にぴったり並ぶのは7月15日から20日の間です。日によっては、木星が西に沈む前の宵のうちに、ほとんどくっついた状態の中赤斑と大赤斑を見ることができます。
「中赤斑」は元々「永続白斑BA」という名前の白い斑点でしたが、昨年12月ごろから大赤斑そっくりの色になり、話題になっていました。大赤斑も中赤斑も木星の「嵐」ですが、どうやら「嵐」としての勢力が強くなると深いところにある物質を巻き上げることで色が赤くなるようなメカニズムがあるようです。
実は、それまで白かった斑点が赤くなり話題になったことは過去にもいくつか例があります。例えば、1973年にNASAの探査機パイオニア10号が木星に近づいたときには北半球に「小赤斑」が見つかりました(1年ほどで消滅)。しかし、今回のように新しい赤斑が大赤斑とほとんどくっつくように並ぶ光景は、そう見られないでしょう。
当初、中赤斑と大赤斑が南北に並ぶのは7月4日前後と見られていました。しかし、中赤斑が近づくにつれ動きが鈍くなってきたので、時期は予想より遅れそうです。7月3日に撮影された写真でも、両者はほとんどくっついていますが、まだ大赤斑から見て中赤斑が斜めの位置にあるのがおわかりいただけるでしょう。NASAの最新の情報によれば、7月15日から20日の間に最接近するとみられます。
5月5日に衝となった木星は、現在も宵の南の空にあって、-2等級の明るさで輝いています。南中するのは夜7時ごろ、沈むのは深夜0時ごろですが、木星はおよそ10時間で自転しているので並んだ赤斑を見るチャンスは限られてしまいます。中赤斑と大赤斑の最接近前後で条件がよいのは、7月15日21時ごろと7月20日20時ごろ、そして7月22日21時ごろです。