小惑星「テミス」に水の氷が検出された
【2010年4月30日 NASA】
小惑星の表面に、水の氷が炭素系の有機化合物とともに検出された。これにより、原始の地球に水をもたらしたのは、小惑星や彗星である可能性が示された。
米・ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所の天文学者 Andrew Rivkin氏らは、NASAの赤外線望遠鏡(IRTF)を使って、2002年からの6年間に小惑星24番「テミス」を7回にわたり観測した。
その観測で集められた赤外線のデータから、水の氷および炭素系の有機物質が検出された。
テミスは太陽から約4億7900万kmの距離に位置している。あまりに太陽に近いため、太陽系が形成されてから46億年も経った今、その表面に水の氷が残されている可能性はないと考えられてきた。
NASAの地球近傍天体プログラムの責任者 Don Yeomans氏は、「小惑星帯全体を探しても、たったコップ1杯の水さえも見つからないと思われてきました。しかし、ひょっとすると小惑星に含まれている水で、地球上のすべてのプールをいっぱいにできるのかもしれません」と話している。
さらにYeomans氏は「わたしたちの過去に関する理解がこれで深まります。また、この研究によって、小惑星が原始の地球にさまざまな物質をもたらした天体であったということだけなく、将来行われる探査で、小惑星が水などの供給地となりうる可能性が出てきたのです」と話している。