板垣さん、増光中の超新星を発見

【2010年6月4日 VSOLJニュース(244)】

新天体捜索者の板垣公一さんが、うお座の楕円銀河NGC 57に超新星2010dqを発見した。板垣さんによる超新星(符号の付けられた天体)の発見は今年早くも6個目となった。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

((左)2007年8月20.658日のNGC 57周辺、(中)2010年5月31.748日のNGC 57周辺、(右)2010dqの発見画像)

(左)2007年8月20.658日(世界時、以下同様)のNGC 57周辺、(中)2010年5月31.748日のNGC 57周辺、(右)2010dqの発見画像。クリックで拡大(提供:板垣公一氏)

VSOLJニュース(243)でお知らせした天体(2010dn)は、超新星ではなく明るい青色変光星(LBV)と判明しましたが、その巻き返しとばかり、山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんは、別の新天体を発見されました。今回の天体は、増光中の超新星である可能性が高いと思われます。

板垣さんは、6月3.71日(世界時、以下同様)に60cm望遠鏡で撮影した画像に、17.3等級の新しい光点を見いだしました。以前撮影した画像を点検したところ、5月31.748日に撮影したときにも18.0等でとらえられていることが判明しましたが、それ以前の画像には天体はありませんでした。新天体の位置は下記のとおりで、うお座とペガスス座の境界付近にある楕円銀河NGC 57の中心核から西に17秒角、南に1秒角にあたります。

  赤経   0時15分29.70秒
  赤緯 +17度19分41.0 秒 (2000年分点)
  NGC 57周辺の星図とDSS画像に表示した超新星

楕円銀河では星生成活動は現在不活発です。そのため、寿命の短い大質量の星は死に絶えてしまっており、大質量星起源である「重力崩壊型超新星」はまず出現しません。一方、白色矮星の核爆発とされる「核爆発型超新星」は、銀河の型を問わずに出現します。今回の天体は、増光中の核爆発型超新星と考えて明るさなどが矛盾しません。今後、分光観測によるタイプの判別や、光度変化の追跡が注目されます。


超新星2010dqの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、簡単にダウンロードして星図に一覧表示できる「板垣さんが発見した超新星」と「日本人が発見した超新星」も公開しています。あわせてお楽しみください。

<参照>

  • VSOLJニュース(244): 楕円銀河に増光中の超新星
  • CBET 2303: SUPERNOVA 2010dq IN NGC 57 (2010 June 3)

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