ばら星雲に約130個の若い星を発見

【2010年9月14日 NASA

ばら星雲にはこれまでに36個の若い星が見つかっていたが、X線天文衛星チャンドラによる観測で、さらに約130個ほどの若い星が発見された。


(ばら星雲の星形成領域の画像)

ばら星雲の星形成領域。DSSとキットピーク天文台の観測による可視光画像に、チャンドラのX線データを重ね合わせたもの。クリックで拡大(提供:X-ray: NASA/CXC/SAO/J. Wang et al., Optical: DSS & NOAO/AURA/NSF/KPNO 0.9-m/T. Rector et al.)

(チャンドラによるばら星雲のX線画像)

チャンドラによるばら星雲のX線画像。クリックで拡大(提供:NASA/CXC/SAO/J. Wang et al.)

NASAのX線天文衛星チャンドラが、地球から約5000光年の距離にある「ばら星雲」(NGC 2237、2238、2239、2246)の星形成領域をとらえた。画像中、チャンドラがとらえたX線は白線で囲まれた領域内に赤の擬似カラーで示されており、中央付近には数百個の星が存在する若い星団NGC 2244が、その右側にはNGC 2237がとらえられている。また、反対の左側にもかすかな別の星団が存在していることがわかる。

NGC 2237にはこれまで36個の若い星が見つかっていたが、チャンドラによる観測で新たな星が見つかり、若い星の数は全部で約160個となった。

1枚目の画像全体にはガスとちりから成る広大な領域が広がっており、そのうち白線で囲まれた一番右側の部分には指のような柱構造も見える。大質量星による強い放射で周辺の雲が破壊されたあとも、これら濃いガスとちりの巨大な構造は残っている。柱のまわりにはX線を放射する星とそこから噴き出すジェットが観測されていて、ひじょうに若い星の存在を示す観測的な証拠となっている。画像中、可視光で暗く見える領域にはそのような若い星が存在しており、星形成が続いている。

また、以前の観測データとチャンドラによるデータを合わせた分析から、中央の星団が最初に形成され、続いて星雲が拡張し、NGC 2237を含む周囲の星団の形成が引き起こされたというプロセスが示された。