ヨーロッパのアンテナが初めてALMA観測所に

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【2011年4月26日 ヨーロッパ南天天文台

ALMAで使用されるヨーロッパのアンテナが初めてALMA観測所に引き渡された。既に北米、日本のアンテナはALMA観測所への引き渡しが始まっており、これで日米欧3種類のアンテナが集結したことになる。


(ヨーロッパのアンテナが引き渡されている様子) (ヨーロッパのアンテナが引き渡されている様子)

ヨーロッパのアンテナが引き渡されている様子。背面からと正面から。ともにクリックで拡大(提供:ESO/T. van Kempen)

ALMA望遠鏡計画は東アジア(日本が主導)・北米・ヨーロッパ・チリが協力して進めている国際プロジェクトで、チリ・アタカマ高原に66台のアンテナを設置し1つの超高性能な電波望遠鏡として運用する計画である。

2008年12月に初めて日本のアンテナがALMA観測所に引き渡されて以来、既に東アジアや北米で製作された10台のアンテナが山頂に運ばれている(2011年3月25日現在)。アンテナは標高2900mの場所にある試験場で試験をした後、すぐ近くにある山麓施設に引き渡され、標高5000mの山頂施設へと運ばれる。

今回ヨーロッパの製作した直径12mのアンテナが、試験場での試験を終えて、ALMA観測所に初めて引き渡された。ヨーロッパ南天天文台のALMAアンテナプロジェクトのマネージャーであるステファノ・スタンヘリニ氏は「(試験場から山麓施設までという)アンテナにとっては短い移動だったが、プロジェクトとしては大きな1歩だ」と述べている。

ALMAのアンテナは東アジアで16台、北米で25台、ヨーロッパで25台それぞれ製作し、合計66台のアンテナを用いることでミリ波やサブミリ波といった波長域の高精度な観測ができると期待されている。本格的な科学観測は2012年より開始の予定だ。