ALMA計画:日本のアンテナ愛称が決定
【2010年3月19日 国立天文台 アストロ・トピックス(542)】
国際望遠鏡プロジェクトであるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA、アルマ)において、日本が開発・製造を担当する16台のアンテナ群の愛称が決定した。
アストロ・トピックスより
このたび、チリのアタカマ砂漠に建設を進めている巨大電波望遠鏡アルマ(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)で、日本のアンテナ16台の愛称が決定しました。
愛称の募集を行ったところ、全国から約2,000件の応募がありました。その中から、3月2日に開催された選定委員会(委員長:松本零士(まつもとれいじ))(注1)で慎重に審議した結果、「いざよい」(注2)が選定されました。
今回の愛称募集キャンペーンは、2009年12月8日から2010年2月14日までの募集期間で、18歳以下を応募対象として行われました。応募総数約2,000件の中で、愛称に決定した「いざよい」を提案したのは、2番目に多い28名でした。
この愛称の選定理由は、次のとおりです。
- 日本のアンテナの台数「16」との数の一致
- 夜空、天体、宇宙のイメージとの一致
- 美しい大和言葉であること
アルマは、チリの標高約5,000mの高地に広がるアタカマ砂漠に、東アジア、北米、ヨーロッパがチリ共和国と協力して建設を進めている巨大電波望遠鏡で、2012年の本格運用開始を目指しています。東アジアでは、国立天文台がこの計画の中心的役割を担っています。
アルマを構成する66台以上のアンテナのうち、日本が開発を担当しているのは16台(直径12mアンテナ4台と直径7mアンテナ12台)です。このうち、12mアンテナ1台は、昨年9月に標高約5,000mの山頂施設に一番乗りし、その後到着した北米のアンテナ2台と合わせ、昨年11月には3台での干渉計観測に成功しました。山頂施設と標高約2,900mの山麓施設に設置されている日本のアンテナは、現在は合計5台となっています。
アルマが完成すると、ハッブル宇宙望遠鏡の約10倍の解像度で、可視光では見えない暗黒の宇宙を探ることができます。太陽系がどうやってできたのか、銀河はどのように誕生したのか、生命の元となる材料はどこからやってきたのか、など、宇宙の謎や生命の起源を解明します。
注1:選定委員会(敬称略)
- 委員長 松本零士(漫画家、日本宇宙少年団(YAC)本部長)
- 委員
- 的川泰宣(日本宇宙少年団副本部長)
- 高橋真理子(科学ジャーナリスト(朝日新聞))
- 鶴見正樹(三菱電機株式会社宣伝部長)
- 観山正見(国立天文台台長)
- 奥村幸子(国立天文台准教授)
注2:「十六夜」とも書く。新月となる日を各月の1日とする古い暦法で、毎月16日の月、または16日の夜を意味する。日本では、明治5年までは月の満ち欠けをもとに日を決める暦が使われていた。