国立天文台のALMA(アルマ)計画の近況
【2006年2月1日 国立天文台 アストロ・トピックス(179)】
国立天文台が進めているALMA計画の近況報告をご報告します。最新情報については ALMAのホームページ: http://www.nro.nao.ac.jp/alma/をご覧下さい。
<近況報告>
チリでは4年に一度の大統領選挙が終了し、1月15日に行われた決選投票の後、バチェレ氏が勝利し、南米初となる女性大統領が誕生しました。ALMAサイトから目と鼻の先にある隣国のボリビアでは1月18日に先住民初の大統領が誕生するなど、南米はいろいろな話題で盛り上がっています。1月に入ってからサンチャゴではまだ雨が降っておらず、いつもにも増して暑い夏となっています。
現地ではインフラ工事が急ピッチで進められています。山頂では日本が担当するACA(アタカマコンパクトアレイ)システムの設置場所の地質調査が無事終了し、当初予定通りの場所に設置できる見込みとなりました。山頂施設のちょうど真正面にACAのアンテナ群が並ぶことになります。一方山頂建物の工事も順調に進められており、すでにACA相関器室の床のコンクリートの打設も終了しています。標高2900メートルにある山麓施設のアンテナ組み上げ場所の整備もまもなく始まる予定です。
また、アンテナの評価試験が行われていたアメリカ・ニューメキシコ州のアメリカ国立電波天文台のVLA(Very Large Array)観測所の敷地内では、試験を終えたアンテナの解体作業がほぼ完了しました。この作業の模様はまもなく完成予定のALMA建設記録映画パート3の中にも収められています。
国立天文台三鷹キャンパスでは米欧が提供するアンテナを含む全てのアンテナに搭載するためのミリ波・サブミリ波の3バンド(バンド4、8、10)の受信機の開発のほか、米欧が分担する受信機をACAシステムに搭載するための検討も進められています。バンド4(150ギガヘルツ(GHz)帯)とバンド8(500ギガヘルツ帯)では評価モデルの評価が終了し、量産機の設計に取りかかっています。また、ソフトウェアは米欧と完全に融合して開発されており、アメリカ、イギリス、フランスなどの機関への長期出張者が米欧のチームの中で開発を支えています。
こういったもの作りの一方で、望遠鏡建設の本来の目的である天文学研究の戦略的な検討も本格化しました。大学研究者を中心に、電波天文学だけでなく理論天文学や光学赤外線天文学など幅広い分野の研究者が集い、ALMAの個別の重点研究分野について、具体的な検討を進めています。また、台湾との協力についても密な検討が進んでいます。
そのほか、写真ニュースにもいろいろ載せてありますのでどうぞご覧ください。