130億年前の銀河の集落を発見か

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【2012年1月11日 ESA/Hubble

ハッブル宇宙望遠鏡の観測で、約130億年前の宇宙で5つの銀河が集まっているところが見つかった。現在見られる大規模な銀河団のもととなる集落と思われ、今後の確認が待たれる。


初期銀河の集落

集落を形成する5つの銀河とそれぞれの拡大図。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, M. Trenti (University of Cambridge, UK and University of Colorado, Boulder, USA), L. Bradley (STScI), and the BoRG team)

ハッブル宇宙望遠鏡の近赤外線観測で、5つの銀河が集まっているらしい様子が発見された。お互いの距離は数十〜数百万光年ほど離れている。131億光年かなた、宇宙の誕生からわずか6億年の原始時代において最も明るい部類の銀河とみられる。

数千億個の恒星でできている銀河が数百、数千個も重力で結びついた大規模な構造は「銀河団」と呼ばれ、約2000個の銀河が集まった「おとめ座銀河団」などが有名だ。今回見つかった銀河の集落はこうした銀河団の形成の始まりにあたる、いわば「原始銀河団」とみられる。

宇宙に存在する銀河は、そのほとんどが小規模な銀河群(group)か、大規模な銀河団(cluster)に属しており、その距離ごとに(つまり、宇宙の歴史における時代ごとに)どのように変化しているのかという研究が行われている。だが、時間を遡って遠方の宇宙になればなるほど、その観測は難しくなる。今回の捜索は、集落に属する明るい銀河の光をたよりに行われた。明るさと質量には相関があり、明るい銀河の周辺で銀河団ができつつあると考えられるのだ。

見つかった5つの明るい銀河は天の川銀河の10分の1から半分程度の大きさだが、明るさは天の川銀河と同程度だ。銀河同士の合体により大量のガスが供給されているため、非常に明るく輝いている。コンピュータシミュレーションによれば、これらの銀河は最終的には合体し、おとめ座銀河団の中心にあるM87のような巨大楕円銀河を形成するとみられている。

研究を行ったMichele Trenti氏(英ケンブリッジ大学、米コロラド大学)は、銀河が集団を形成しはじめた頃のこれらの銀河について「銀河団の成り立ちに関するこれまでの理論を裏付けるもの。高性能なハッブル宇宙望遠鏡によって、これだけ遠方の証拠を初めて見つけることができた」と述べている。研究チームでは今後、銀河の精密な距離や、これらの銀河が重力で結びついているかどうかなどの確認を引き続き行っていくという。

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