70億光年かなたに太陽質量の800兆倍、最大級クラスの銀河団

【2010年10月19日 CfA

地球から約70億光年の距離に太陽800兆個分の質量を持つ巨大銀河団が発見された。70億光年先ということは、70億年前の姿を見ているのと同じである。この銀河団の現在の姿を見ることができれば、進化した銀河団はかみのけ座銀河団の4倍ほどの大きさになり、宇宙でも最大級銀河団の1つであるはずだという。


(約70億光年の距離に発見された巨大銀河団の画像)

約70億光年の距離に発見された巨大銀河団(黄色の丸:年老いた星の集まりである楕円銀河、青色の丸:若い星の存在する渦巻銀河)。クリックで拡大(撮影:Infrared Image: NASA/JPL-Caltech/M. Brodwin (Harvard-Smithsonian CfA) Optical Image: CTIO Blanco 4-m telescope/J. Mohr (LMU Munich))

銀河団の観測は、宇宙における構造の進化に影響を及ぼすダークマターやダークエネルギーの研究に役立つ。ずっと昔の宇宙は現在に比べてコンパクトであり、そこでは重力がより大きな影響を及ぼしていたと考えられている。

米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのMark Brodwin氏らの研究チームでは、宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの残光)が大きな銀河団を通り抜けるときに生じるわずかなゆがみを検出する方法を使って遠方にある巨大な銀河団を探すため、南極点望遠鏡(SPT)を使ったサーベイを行っている。

遠方の巨大銀河団のサーベイは、宇宙の膨張を加速させるダークエネルギーの状態を知ることを目的としている。また、銀河団内の高温ガスの進化を理解するためにも役立てられる。

Brodwin氏らのサーベイによって、地球から約70億光年の距離にかみのけ座銀河団ほどの大きさの若い銀河団が発見された。数百個の銀河が含まれており、質量は太陽800兆倍もある。70億光年先にある天体を見ることは、同天体の過去の姿を見ているのと同じである。もし、この銀河団の現在の姿を見ることができれば、かみのけ座銀河団の4倍ほどもある、宇宙でも最大級クラスの銀河団へと成長していると考えられている。

研究チームでは、SPTによるサーベイが完了したあかつきには、より質量の大きな銀河団が遠方宇宙に発見されるのではないかと期待している。

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