宇宙画像から重力レンズ像を探すプロジェクト「Space Warps」、参加者募集

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【2013年5月10日 カブリIPMU

遠方の天体が手前にある天体の重力により本来とは異なった姿を見せる「重力レンズ効果」は、正体不明の質量源「ダークマター」の分布など宇宙の謎を解き明かす手がかりとなる。その重力レンズ像を観測画像から探し出すプロジェクトが、一般の協力者を募集中だ。


多くの重力レンズ像が見られるAbell 68付近

多くの重力レンズ像が見られる銀河団の例(この画像についての詳細記事)。クリックで拡大(提供:NASA & ESA. Acknowledgement: N. Rose)

重力レンズは、大質量の銀河や銀河団がまるで宇宙空間の巨大なレンズのように振るまい、その向こう側(さらに遠く)にある銀河などの天体からの光を曲げる現象だ。レンズ効果を受けた銀河の像は、ゆがんだ形状になったり、複数の像として見えたりする。

その重力レンズ像を公開画像から探し出す「Space Warpsプロジェクト」のウェブサイトが5月8日にオープンし、一般の参加者を募っている。協力者は、観測画像の中からレンズ効果を受けた天体を見つけてクリックするだけだ。重力レンズとそうでないものを区別するためのサンプルや練習用画像も用意されている。

プロジェクトを率いる主催者のAnupreeta More博士(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構)は、「私たちは、コンピュータプログラムを用い、画像から重力レンズ天体の自動検出を試みてきました。しかし、自動検出プログラムでは見つけ出せなかった重力レンズがまだまだたくさん残っているようです。それを皆さんの力で探し出してほしいのです」と呼びかけている。

参加者から得られた統計データは、重力レンズの自動検出プログラムの改良にも役立てられる。色や形などの特徴をつかんで自分の眼で探すことで、重力レンズのしくみや遠方宇宙への理解を深めつつ最先端の研究に貢献できる、おいしい体験だ。もうすぐやってくる梅雨の夜の楽しみにいかがだろうか。