金星の謎の暴風、6年間で大幅に加速

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【2013年6月20日 ヨーロッパ宇宙機関

金星全体を吹きわたる謎の暴風「スーパーローテーション」が過去6年間で大幅に加速していることなどを、日本とロシアの研究チームがそれぞれつきとめた。


金星大気とその動き

ビーナスエクスプレスがとらえた金星大気とその動き。手動で4万5000個、自動プログラムで35万個にもおよぶ雲の模様を追跡し、長期での加速をつきとめた。クリックで拡大(提供:Fig. 3 from Khatuntsev et al, Cloud level winds from the Venus Express Monitoring Camera imaging, Icarus (2013); doi: 10.1016/j.icarus.2013.05.018)

周期243日というひじょうにゆっくりとした自転をしている金星の表面を、わずか4日間で一周する謎の暴風「スーパーローテーション」が、過去6年で大幅に加速していることがわかった。

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の金星探査機「ビーナスエクスプレス」の観測から、南緯50度から北緯50度までの領域で上空70kmに出現する雲の動きを追跡調査したところ、2006年は時速300kmだった風速が最新データでは400kmにまでなっていたのだ。

この結果は、ロシア宇宙科学研究所のIgor Khatuntsevさんらと日本の神山徹さん(産業技術総合研究所)らによるそれぞれの研究から判明した。2チームはこのほかにも、短期スケールでの風速の周期変動を明らかにしており、その中には説明のつかない新たな謎も含まれる。

日本の金星探査機「あかつき」も2010年にビーナスエクスプレスに合流し共にスーパーローテーションの解明に取り組む予定だったが、メインエンジンのトラブルにより金星周回軌道投入に失敗してしまった。現在は2015年の再挑戦を目指している。

2006年から続く「ビーナスエクスプレス」観測ミッションは終盤にさしかかっており、関係者からは「我々の最後のミッションは『あかつき』の到着まで持ちこたえることだ。2015年まではとにかく頑張る」との声が聞かれているという。

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