水蒸気が意外に少なかった、系外惑星の大気
【2014年7月30日 HubbleSite】
3つの系外惑星の調査から、これらの惑星の大気に含まれる水分が予測よりもはるかに少ないことがわかった。現在の一般的な惑星形成理論に反する観測成果となる。
英ケンブリッジ大学のNikku Madhusudhanさんらは、ハッブル宇宙望遠鏡を用いてHD c(こぎつね座方向63光年彼方)、HD 209458b(ペガスス座、153光年)、WASP-12b(ぎょしゃ座、1400光年)という3つの系外惑星の大気を調べた。これらのガス惑星が地球から見て主星の手前を通過する際に、惑星の大気ごしに見える恒星の光(近赤外線)を調べると、大気中の水蒸気による吸収の痕を検出することができる。
この観測分析はひじょうに高精度なもので、系外惑星の大気に水分が含まれるというもっとも確実な証拠である一方で、意外な結果ももたらした。これらの惑星大気に含まれる水蒸気は、予測されていた量のたった1000分の1〜10分の1しかなかったのだ。
現在広く信じられている惑星形成理論によれば、生まれたての恒星の周囲にある塵とガスの円盤(原始惑星系円盤)の中で、塵の粒子が集まったコア部分が、さらにガスや塵を集めて巨大な惑星に成長していくと考えられている。「コア成長モデル」と呼ばれるこの理論の場合は、惑星に含まれる水素の大部分が水分子の形で存在すると推測されており、今回の観測結果はその理論の見直しを迫るものだとMadhusudhanさんは述べている。
また、惑星大気の水分が予測より少ないという結果は、今後の調査手法に影響を与える可能性もありそうだ。
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